中国での作家の逮捕者数は6年連続で世界トップ(習近平氏/時事通信フォト)
中国で昨年、作家が投獄されたケースは118件で、作家の逮捕者数としては世界最多だったことが明らかになった。ちなみに、前年の2023年における中国での作家の逮捕者は107人。作家の逮捕者数としては、中国は6年連続で世界トップとなっている。文学と人権の進歩を通じて、米国および世界における表現の自由の擁護を支援している団体「PENアメリカ(旧PENアメリカンセンター)」が発表した。
昨年、中国で逮捕された118人の作家の半数近くが中国に居住するウイグル、チベット、モンゴル族など少数民族(55民族)出身。そのほとんどが、それぞれの民族の中国からの分離や独立を主張したことが逮捕理由になっている。118人の逮捕者のうち女性は9人だという。
また、118人のうち、33人が正式な裁判なしに投獄されているほか、逮捕者の3分の1が正式な出版物でなく、インターネットを通じて作品を発表していることが特徴だ。
PENアメリカは発表の中で「逮捕投獄された作家の多くは、中国政府が人々の人権を無視していることに焦点を当てた作品を発表しており、中国は言論の自由を封殺している」としている。
またPENアメリカは、中国で投獄されている作家は獄中で病気になっても、まともな治療をしてもらえず、健康状態が悪化している例も多いと指摘している。
中国系オーストラリア人の作家ヤン・ヘンジュン氏はスパイ容疑などで2019年に投獄されたあと、2024年2月に執行猶予付きの死刑判決を受けている。いまや健康状態は急激に悪化しているが、まともな治療を受けていないという。また、人権活動家で作家の徐志勇氏は昨年10月、過酷な拘禁環境に抗議してハンガーストライキを行っている。
ウイグル族で、北京の中央民族学院(大学)教授だったイルハム・トフティ氏は新疆ウイグル自治区における中国当局によるウイグル族など少数民族への差別を批判したことで逮捕・投獄され、2014年に裁判で終身刑を宣告されたが、2017年以降、消息が途絶えている。このほか、チベット族やモンゴル族などの著名な作家も逮捕されたあと、消息不明になっているという。
表現の自由をめぐって、昨年投獄された作家の数が多い国は中国のほか、イラン(43人)、サウジアラビア(23人)、ベトナム(23人)、イスラエル(21人)、ロシア(18人)、トルコ(18人)、ベラルーシ(15人)、エジプト(10人)、ミャンマー(10人)などとなっている。