2010年6月24日、第22回参院選の公示日、巣鴨の商店街で街頭演説する自民党の三原じゅん子候補。この参院選で初当選した(時事通信フォト)
税を支払うのは国民の義務だけでなく、公正感や持ちつ持たれつという感覚、納得感から払うのではないだろうか。東日本大震災からの復興に当てられている復興特別税は、2013年から2037年まで所得税に上乗せして徴収されている特別税だ。国民全員にメリットはないが、その必要性は理解されている。地震大国に住む我々にとって被災や復興は、明日は我が身かもしれないからだ。2024年からいつの間にか徴収されている森林環境税も、その目的が地球温暖化防止や国土の保全、水源の涵養であるなら、日本に住む全員に関係する。しかし子ども・子育て支援金に公平感や納得感はない。
税金の使い方にも不満や不信感は多い。こども家庭庁の2025年度の予算は7.3兆円。少子化対策はすすむどころか、出生率は減るばかり。来年から三原大臣が進める”プレコンセプションケアの推進”は、5か年計画で予算は9億5000万円。妊娠出産のアドバイザーとしてプレコンサポーターという人材を5万人養成するというが、そんなことで出生率が上がるとは思えない。独身税という批判には三原大臣がいう言葉尻の問題より、物価高での増税や税金への不公平感、政府への不信感が含まれている。
岸田文雄前首相は首相時代、自身のXに「こどもは国の宝です」と投稿していた。SNSでは度々、全国各地の学校で出される「貧相な給食」が話題だ。唐揚げ1個や餃子2個が皿の中にポツンとある給食。1食あたりのカロリーは満たしていると聞くが、食べるのは成長過程にある食べ盛りの子供たちだ。物価高騰で給食費の予算はギリギリという声も聴く。支援と名のつく税金で恩恵を受ける人が限定されるなら、結果の見えないプレコンセプションケアなどという新しい資格制度より、目の前にいる子供たちの給食費を支援してもらいたいものだ。