吉沢亮が演じる主人公・喜久雄(インスタグラムより)
「原作を書いた吉田修一氏は『国宝』のために、全国の歌舞伎の舞台に通いつめ、約3年間、勉強を重ねました。人間国宝である四代目坂田藤十郎を父に持つ歌舞伎俳優・四代目中村鴈治郎さん(65)の指導のもとで、裏方の人が着る黒衣姿になり、生のバックヤードを見続けたといいます。
そんな吉田氏と同映画の監督の李相日氏は2010年公開の『悪人』、2016年公開の『怒り』とずっとタッグを組んできている。吉田氏の原作の映画はそれまで東宝が配信してきており、吉田氏、李氏と東宝との間には強い信頼関係があるようです」
松竹に同作の配給会社となっていない理由などについて尋ねたところ、「他社様による配給作品につきまして弊社は回答する立場にはございませんが、同じく映画の製作、配給、ならびに歌舞伎公演を手掛けます弊社として、国内の映画市場の更なる活性化の為にも、同作品の上映が盛況となりますよう期待しております」(広報室)と回答した。
撮影は壮絶なものだったようだ。梨園関係者はこう話す。
「なにぶん一人の役者が人間国宝になるまでを描くものですから一筋縄ではいかない。化粧の残り方なども細かくチェックし、ここは女形の白粉が落ちているほうがリアルだからこのままでいこう、などということも現場で話し合われていたと聞きます。また、映画の撮影ですから1回踊れば終わりというわけにはいかず、吉沢亮さんも横浜流星さんも何度も踊らなければならなかった。カットがかかった瞬間に、倒れこんでいたそうです」
そんな同作、歌舞伎界の盛り上がりにも一役買いそうだ。