国際情報

香港で中国本土の労働環境を監視していた「中国労工通訊」が解散 2020年の香港国家安全維持法施行以来少なくとも58の市民団体が解散との指摘も

当局の方針が圧力となって解散に追い込まれたのか(習近平氏/時事通信フォト)

当局の方針が圧力となって解散に追い込まれたのか(習近平氏/時事通信フォト)

 香港を拠点に中国本土の労働環境を監視している非営利団体「中国労工通訊(CLB)」が2025年6月12日付で解散したことが明らかになった。創設者の韓東方氏は「財政難」を理由に挙げている。

 香港政府当局は「外国からの資金提供や海外組織とのつながりのある組織」の摘発を強めており、こうした当局の方針が圧力となって解散に追い込まれたとの見方も出ている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。

 CLB創設者の韓氏は中国の労働者出身で、1989年の天安門事件当時の民主化運動指導者。主に労働者を組織してその権利向上を中心に中国の民主化実現を目指していた。

 韓氏は事件で逮捕されて服役した後、香港に渡り、1994年にCLBを創設。中国で起きた数々の大規模な労働争議を綿密に追跡し、権利を侵害された労働者が補償を求めて闘うことを支援。CLBのホームページ上で、中国全土の労働者のストライキの地図を定期的に更新するなど、中国の労働問題に関する調査レポートを定期的に発表していた。

 しかし、1997年の香港の中国返還後、中国政府による香港内の政治・民主化活動への監視が強化されるなか、中国政府が2020年に香港の民主化運動などを取り締まる香港国家安全維持法を施行すると、民主化活動家や民主派団体寄りの政治家、労働活動家らが組織していた多くの市民社会団体が閉鎖または撤退に追い込まれてきた。

 韓氏は「CLB自体も中国の国家安全機関と香港の国家安全警察によって監視されている」と訴えていた。このため、韓氏は調査の焦点を中国企業ではなく、外国法が適用される外資系企業が関与する労働争議事件に移すよう方針を転換したが、解散を余儀なくされたとみられる。CLBの解散発表の数時間前には、香港国家安全当局が複数の個人宅や団体事務所を捜索していたとの情報もある。

 ニューヨーク・タイムズは「香港では2020年の同法施行以降、少なくとも58の市民社会団体が解散を余儀なくされている」と指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と絶縁騒動が報じられた母・有里氏(Instagramより)
「大人になってからは…」新パートナーと半同棲の安達祐実、“和解と断絶”を繰り返す母・有里さんの心境は
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《小島瑠璃子が活動再開を発表》休業していた2年間で埋まった“ポストこじるり”ポジション “再無双”を阻む手強いライバルたちとの過酷な椅子取りゲームへ
週刊ポスト
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
【動画】元金メダリスト・岩崎恭子 “金髪カツラ”不倫から「復活の兆し」
【動画】元金メダリスト・岩崎恭子 “金髪カツラ”不倫から「復活の兆し」
NEWSポストセブン