「中国共産党が関与」と英語だけでなく日本語でも発信(ジョージ・グラス駐日米国大使公式Xより)
アメリカのドナルド・トランプ大統領が就任直後、中国に超高額な関税をかけたとき、格安ネット通販などとともに、違法フェンタニル問題も課題のひとつとして挙げ、中国の動向を強くけん制したことも記憶に新しい。フェンタニル問題については、同様にカナダやメキシコにも適切な策をとっていないと、高額関税の発動で圧力を強めていたのだ。
そして「政治部記者」が驚いたのは、まさにこの点だったという。
「6月25日、アメリカ政府がメキシコ国内の銀行など3つの金融機関に制裁を科すと発表しました。その理由が、フェンタニルの密売に関与した疑いがある、というもの。3社は反論していますが、アメリカ政府に反社のレッテルを貼られたら、金融機関としてはやっていけない。もし、日経がスクープした名古屋を拠点とする中国籍の人物が代表の会社が本当に密売に関わっていたとしたら、彼らに場所を提供したり、仕事を手伝ったりした日本人や日本の会社、それに取引銀行だってアメリカにとって捜査の対象になるかもしれません。そして最も重大なのは、日本当局は知らなかったのかと、アメリカ側に不信感を抱かれかねない事態になっていることです。スクープ記事掲載から一日も経たずに、フェンタニルなどの合成薬物が日米両国において多くの命を奪っている、背景には中国共産党がいる、とSNSに投稿し日本国民に直接呼びかけたのは、他ならぬ、アメリカのジョージ・グラス駐日大使でした」(全国紙政治担当記者)
もともと、強力な鎮痛剤として処方されてきたオピオイド乱用による被害が大きかったアメリカだが、2015年頃から主にフェンタニルの乱用による死者数が急増、2023年までは7万人を超えていた。アメリカもフェンタニルの危険性を周知する活動を続けているが、乱用への供給が止まらない状態だ。最近は、製造地から輸入される経由地であると言われていたカナダ国内でも、フェンタニル乱用者が急増し、社会問題化しはじめた。この「原因」に日本が絡んでいた、と指摘されては、日本の立場は丸つぶれだ。
日本にもフェンタニル中毒者?
さらに「遠い国の出来事」と思っていた我々を恐怖に突き落とすような情報まで飛び出した。前出の警察担当記者が続ける。
「大阪の西成で、フェンタニル中毒者をみた、という情報がいくつか寄せられています。SNSを見ると、極めて不自然な姿勢で歩く男性が写っていて、報道で見た、アメリカのフェンタニル中毒者とそっくりなんです。本当にフェンタニルを使っているか確認はできていませんが」(全国紙警察担当記者)