2024年大統領選挙期間中にケタミンを服用していたという報道に対し、使っていないと弁明。かつてケタミンを処方されたことは認めている(イーロン・マスク公式Xより)
実は筆者も今年3月頃、大阪市内や北関東、北部九州などで、すでに「フェンタニル」らしき薬物を使用した人物がいる、という情報を得ていた。この時、同時に聞いていたのが「ケタペン」なるおそらく、フェンタニルとは別物と思われる薬物の存在だ。かつて、日本国内で危険ドラッグの製造、販売に携わっていた元暴力団関係者の男性が解説する。
「すでに”ケタペン”などの名前の中国製ドラッグが日本に出回っています。中身は、アメリカで売れなくなったフェンタニルとも、薬物の”ケタミン”を含有しているともいわれていますが、実際は何が入っているかわからない。ただ、ほかの薬物より安価で、リキッド状だから電子タバコのように気軽に吸えるので、人気が出つつある。繁華街にある雑貨店では、こうした得体の知れないドラッグが秘密裏に販売され始めています」(元暴力団員の男性)
実業家のイーロン・マスクがうつ病の治療のために少量のみ使用していると認めたことで話題になったケタミンは、解離性麻酔薬と呼ばれる幻覚作用がある麻酔薬の一種だ。こちらもアメリカでは過剰摂取や違法流通が問題となっている。そして、中国系詐欺集団が幅をきかせる東南アジア各地域では、詐欺師相手の飲食店や風俗店で働く女性たちに「ケタペン」の乱用者が増えているというようなSNS情報もかなり流れてくるようになった。
中国発の「危険ドラッグ」が日本社会を震撼させたのは、せいぜい10年ほど前のことだ。もともと反社会的な人たちだけが違法薬物に手を染めるのではなく、一般的な市民生活を送る人も加わってしまうことを、危険ドラッグのときに私たちは知っている。法改正などで違法薬物へのテレビニュースで眺めているだけだった「ゾンビタウン」の光景が、日本国内にも広がってしまう恐れがある、といえば大げさに聞こえるだろうか。私たちはこの新たな脅威に対し、これまで以上に警戒を強める必要がある。