個性的すぎる新庄流「投手起用」データ
効率的な投球のできる投手を選べれば、完投にも結びつきやすい。パ3球団で投手コーチを務めた杉本正氏は「新庄監督は野球を知っている」と評す。
「完投重視は、裏を返せばリリーフ陣に不安があるということでしょう。ソフトバンクに完投が少ないのは後ろに控える投手が盤石だから。新庄監督は救援の不安を補う狙いで、先発に長いイニングを投げさせるのに何が必要か考えている。メジャーの経験から、リリーフばかり投げさせるブルペンデーも作る。表向きは奇抜でも、実際は勉強を重ねた末の野球ではないか。試合当日にコンディションがいい選手のデータを担当コーチなどから上げさせ、細かく起用を考える。そのあたりの才能もずば抜けているのだと思う」
野手も規定打席に到達しているのは清宮幸太郎(26)、レイエス(30)、万波の3人のみ。
「主軸3人以外は好調でも3連戦は1試合休ませ、野村佑希(25)、郡司裕也(27)、石井一成(31)、五十幡亮汰(26)らを代わる代わる使う。前半戦はファーム暮らしの水谷瞬(24)が好調になり、レギュラー争いに加わるなど、調子がいいと見た二軍から上げたばかりの選手を起用しては、結果が出ている」(広尾氏)
就任2年目の2023年は故障者続出で最下位だったが、「その経験に学び、休ませながらの起用で今季は長期離脱者ゼロ」(前出・担当記者)なのだ。