若者に喝を入れ続ける黒沢さん。写真は1980年撮影(共同)
株は欲張らないことが大事
それでも一応、株についても「欲張っちゃいけない」と哲学があるようで……その原体験は、こんなものだった。
「やんちゃしてた10代の頃、危ない人達相手に『おいちょかぶ』をやったんですよ。そしたら欲かいて大失敗して、必死に稼いで当時約100万で買った愛車『いすゞ・ベレット』を取られちゃったんです。
この時に僕、悟りました。僕は博打は合わないと。でもそれでも博打にも似た株をやるのは、株は欲張らないことが大事だからですね」
黒沢さんは、悠々自適の現在の暮らしを手に入れるまで、いろんなものを手放した。
「都内の一等地の大きな家や別荘なんて、子供が大きくなれば不要になる。なのに大体が、家を手放すなんて勿体無いとか恥だなんて、中高年男性は思うんでしょう。
でも僕はそれらをすべて売った。3分の2は認知症を患ったママ(妻)のホームに費やし、3分の1は俺のシニアマンション。年金も35年払いましたから、現存する俳優の中でトップクラスで受給してますよ。これで十分暮らしていけます」