香港政府が海外メディアのジャーナリストのビザ更新を拒否したのは初めてではない
香港政府が米金融経済情報通信社「ブルームバーグ」の記者の報道ビザの発給を拒否したことが分かった。香港入国管理局はビザ更新拒否の理由を明らかにしていない。香港に拠点を置く無料の非営利ニュース ウェブサイト「香港フリープレス」が報じた。
報道ビザの更新が拒否されたブルームバーグの記者はこれまで6年間、香港の金融報道機関で記者として働いており、最近、ブルームバーグに移籍し、アジア政府・経済チームの上級記者を務めていた。
香港政府が海外メディアのジャーナリストのビザ更新を拒否したのはこれが初めてではない。昨年、やはりブルームバーグのジャーナリスト、ヘイズ・ファン氏のビザ申請が却下されている。また、その数カ月後、AP通信のカメラマン、ルイーズ・デルモット氏のビザも更新されず、当時、米国に帰国中だった同氏は香港への入国を拒否された。
特に、国家安全維持法の成立後の2020年6月以降では、ニューヨーク・タイムズや英紙「フィナンシャル・タイムズ」、英誌「エコノミスト」の記者もビザ発給を拒否されている。香港政府はいずれも理由を説明していない。
香港の地元メディアも「リンゴ新聞」や「立場新聞」など10社以上が閉鎖に追い込まれ、1000人以上の記者が職を失い、香港を出ることを選んだ記者も多い。一方、香港政府が出資している放送局「RTHK(香港電台)」は新たな編集ガイドラインを作成し、過去のニュースアーカイブを削除。ニュース番組や風刺番組も廃止された。
今回のブルームバーグ記者のビザ発給拒否について、香港外国特派員クラブは「残念なことに、この決定と説明の欠如は、香港基本法で保護されている香港における報道の自由を侵食するもので、強い懸念を抱いている。私たちは、今後の国際ジャーナリストの雇用ビザとビザ延長の申請がタイムリーかつ透明性のある方法で処理されるよう求める」との声明を出し、香港政府の対応を批判している。