通算勝利数は日本競馬史上10位で現役最多という名伯楽・国枝栄調教師
9月中山のオールカマーを勝ち、これならもしかしたら東京コースでもと天皇賞・秋に挑んだが15着と惨敗。大外16番枠ということもあったが、それ以上に長い直線がこの馬には不向きだったようだ。このあとは本来ならジャパンカップを使いたいところだったが、東京競馬場では2戦とも直線で失速している。ここはぐっと我慢、暮れの大一番に懸けることにした。
2007年の有馬記念はジャパンカップで3着に敗れ雪辱を期す前年のダービー馬メイショウサムソン、牝馬ながらこの年のダービーを勝ったウオッカ、桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯と勝ったダイワスカーレットなど、出走馬のGI勝利合計が16という超豪華メンバー。マツリダゴッホは9番人気の低評価だったが、一息入れたことで体調はよく、マサヨシも私も、妙な自信があった。
結果はご存じの通り。数多のGI馬相手に直線では突き放す強さ、ゴールの瞬間は「なんとマツリダゴッホ!」とアナウンスされたよ。
有馬記念を勝った後のGII3勝もすべて中山競馬場。とくにオールカマーは3連覇で、中山巧者、中山の鬼などと言われファンの記憶に刻まれた。ならば、中山で「マツリダゴッホ記念」というようなレースをつくってくれないかと思ってるんだけどな。
【プロフィール】
国枝栄(くにえだ・さかえ)/1955年岐阜県生まれ。東京農工大学農学部獣医学科卒業後の1978年から美浦・山崎彰義厩舎で調教助手。1989年に調教師免許を取得して1990年に開業、以後優秀調教師賞7回、優秀厩舎賞7回。主な管理馬はほかにブラックホーク、マツリダゴッホ、サークルオブライフ、ステレンボッシュなど。
※週刊ポスト2025年10月3日号