愛されキャラクターだった橋本被告
現場に広がっていた40cm×80cmの血の跡
弁護人は、Cさんに橋本被告の事件当時の様子について細かく聞いていく。先着した警察官が到着した際、Bさんが橋本被告に馬乗りになっていたことは前述の通りだ。
弁護人「橋本被告に抵抗する様子があったと聞いていますか?」
証人「それは聞いていません」
弁護人「橋本被告は警察官の呼びかけに応じていましたか?」
証人「応じていない」
弁護人「意識がなかったのですか?」
証人「それはわからないが、息をしていたのはわかった」
警察官が到着したときには、抵抗する様子が見られなかったことを主張する弁護人。凶器のクワも、部屋から離れた場所で発見されたという。
倒れていた橋本被告の下には、40cm×80cmほどの範囲で血が広がっていた。しかし橋本被告の意識は不明瞭で、橋本被告がどのように犯行に至ったのかはわからないという。
救急車が到着するまで、救命措置などは特に行わなかった。先着の警察官含め、声をかけての反応は呼吸と手先が動いていた程度であったが、「ちょっと動いていたので、生きているのは間違いない」という判断からだった。
緊急逮捕は病院で行われた。頭を縫合した橋本被告はベッドに座っていたものの、証人からの任意同行の求めに何も答えなかった。殺人未遂の疑いという事案の大きさと、医師からの聞き取りで健康状態に問題ないと判断し、緊急逮捕を決めた。
初公判の翌日には、被害者両名に対する尋問が行われた。被害者両名の証言は、この事件の背後にあると思われる人間関係のリアルさを垣間見せるものだった。今後くわしく報じる予定だ。
(了。前編から読む)
◆取材・文/普通(裁判ライター)