「若槻千夏のうるさい心理テスト」番組公式Instagramより
占いは血液型診断に星座占い、干支占い、四柱推命、手相占いにタロットカードと様々なものがあり、占うものは血液型に生年月日、手相に画数など。占ってもらう人は占うための生年月日や星座を自分で選ぶことはできない。不可抗力で与えられた数や血液型で判断され、過去や未来は”運命”という言葉に凝縮される。良いことも悪いことも運命、運が悪くても、調子が悪くてもその人のせいではない。先の未来は自分でどうにかできる余地があるかもしれない。占いには良いことは自分が頑張ったためで自分のおかげ、悪いことは運命や占いのせいにして納得するという「セルフサービングバイアス」という心理傾向も影響する。占われる方の本音や本質が問われることもないし、視聴者にとっては運命というミステリアスなものがその人の人生の波や活躍にどう影響したのかがわかるから、『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)はずっと人気番組なのだ。
だが心理テストは自分で答えを選ぶもの、受けたその時の自分の心理を表すもの。過去でも未来でもない。おかしな答えを選べば本当はこんな人だったのかと思われかねないリスクもあるし、自分自身も納得できる答え、最善の答えが欲しくなる。例えていえば神社のおみくじのようなものだ。選ぶのは自分だからこそ、いい結果が欲しい。”凶”なんて出てしまったら、”大吉”が出るまで何度でもおみくじを引きたくなるだろう。自分で選ぶものだからこそガチではなく、遊びである必要がある。
番組で行った次の心理テストは手の出し方。それでお金への執着度がわかるという。ちょっとしたボディランゲージや非言語コミュニケーションの知識や心理学の要素が使われている。何について分析するかは彼女が答えを選ぶ前に伏せられていた。わかれば無意識のうちにどれが最善かを判断するからだ。同じテストで、心理学者にどれを選ぶか聞き返した彼女は、彼女と同じような形で出された手を見て、それを「本当かなぁ~ 自分が一番よく見えることできるもんね」と端的に指摘した。こういう心理テストはそんなもの。人は見せたい自分を演出するし、見せられる部分だけを見せるものだ。
この手の心理テストに人気があるのは、人が自分について知りたがる生き物だからだが、納得のいく答えが出るまで何度でもやり直すことができるからだろう。