小泉進次郞支持派と高市早苗支持派との間には総裁選で大きな亀裂(時事通信フォト)
自民党の新総裁が高市早苗氏に決まったが、少数与党に転落している自民党にとって、“本当の権力闘争”はこれからやってくる。国会での多数派工作をめぐって壮絶な争いが繰り広げられることになるのだ。小泉陣営が日本維新の会との連立を見据えた交渉を進めた一方、高市陣営は国民民主党との連立を目指す構えだった。すでに総裁選を通じて党内対立はかつてないほどに先鋭化している――。【全3回の第3回。第1回から読む】
自民党内で“進次郞憎し”の感情高まる
高市早苗支持派と小泉進次郞支持派の間には総裁選で大きな亀裂が入った。
小泉陣営のステマ疑惑では、陣営の総務・広報班班長だった牧島かれん・元デジタル相が陣営の議員らに送った例文の一つ、「ビジネスエセ保守に負けるな」というフレーズが高市氏を想定した批判だったと受け止められている。ビジネスエセ保守とは、商売や人気取りのために保守的な言動をしているという意味に使われる。
これに高市支持派議員たちは反発し、さらに自民党神奈川県連の“消えた党員”問題が火に油を注いだ。
小泉氏が会長を務める神奈川県連が総裁選の投票権を持つ党員826人を勝手に離党したと判断して投票用紙を送付していなかったことが発覚。同県連は復党手続きをして9月26日に投票用紙を送ったが、党員名簿から除外されたのが前回総裁選で高市氏を支持した中山展宏・前代議士が集めた党員だったことから、『週刊文春』が「進次郎側近が高市派党員を勝手に大量離党させていた!」などと報じた。
小泉氏はSNSでこの問題を「今回初めて知ったところであり、全く関知しておりません」と関与を否定し、文春報道に「事実に反する内容を印象付けるもので、自民党総裁選に不当な影響を与えかねない記事であり極めて遺憾です」と抗議。
しかし、高市陣営には「そこまでやるのか」「えげつない」と“小泉憎し”感情が高まっており、「(小泉氏が勝利したら)自民は壊れ、日本が変な方向に行くのではないかと大変な危機感を持っている」(佐々木紀・代議士)との声まであがる事態となった。
自民党内はまるで分裂前夜の様相なのだ。