常盤山部屋に所属する力士や行司、呼び出し、床山、世話人は、常盤山親方がスカウトした弟子たちに加え、旧千賀ノ浦部屋、旧貴乃花部屋の弟子や裏方が混在しているわけだ。それゆえ、元・貴景勝が「弟子を預かる」という話になってくるのだという。
「部屋頭の隆の勝は旧千賀ノ浦時代に舛ノ勝として入門し、現親方が継承すると隆の勝に変更したハエヌキ。来場所、再十両となる若ノ勝は埼玉栄から貴景勝の内弟子として入門している。幕下の貴健斗、序二段の貴大将、床山の床勝、世話人の嵐望は貴乃花部屋からの移籍組。貴景勝は内弟子と旧貴乃花部屋勢を連れて『湊川部屋』を創設するかたちとなり、残りは隆の勝が『常盤山』を継承するまで一時的に湊川部屋所属になる構想です。一時的、といっても隆の勝が部屋創設条件を満たすために4年以上預かることになるでしょう」(前出・若手親方)
ただ、常盤山親方と貴景勝の関係があまりしっくりいっていないとする関係者もいる。そのため常盤山部屋の力士を預かるのか、旧貴乃花部屋勢だけで独立するかは未確定とされるが、部屋の所在地は確定的だ。元大関・北天佑の次女と結婚した貴景勝は、北天佑が興した二十山部屋のあった建物で暮らしている。土俵がある当時のままの状態で、いつでも自らの部屋として“再興”できる。ただ、現場では最近になって奇妙な動きもあった。相撲担当記者が言う。
「名古屋場所後、伊勢ヶ濱部屋を継承した元横綱・照ノ富士が、両国に建設予定の新部屋完成までの一時的な避難先として部屋を江東区毛利から墨田区立川に引っ越した。それが貴景勝の住む旧二十山部屋の隣のマンションなのです。ただ、親方や関取衆はそこで生活しているものの、稽古場は車で5分ほど離れた隅田川沿いの倉庫跡にある。照ノ富士の新部屋は来年末の完成予定とされるが、それまでの短期間であっても、隣の旧二十山部屋の稽古場が借りられなかったという話のようなのです」
異例の“部屋持ち大関”として現役を続けた貴景勝だが、湊川親方として相撲部屋で生まれ育ったおかみさんと二人三脚で始動することになるようだ。