世田谷区の返礼品は1日駅長体験

世田谷区の返礼品は1日駅長体験

「毎年の寄付額は公表していませんが、東急では自社沿線の渋谷区・目黒区・品川区・世田谷区・町田市、神奈川県川崎市をはじめ、沿線外の新宿区なども含めて全国135の自治体とふるさと納税事業で連携しています。沿線外の自治体ともふるさと納税事業で連携していますが、これらの自治体は東急グループが事業展開している地域だったり、包括連携協定を締結して協力関係にある自治体です」と説明するのは東急社長室広報グループ報道担当の担当者だ。

 東急もJR東日本と同じく、ほかのポータルサイトと差別化するべく自社の強みである鉄道を返礼品に用意するようになった。たとえば、2025年6月に受付を開始した世田谷区では、「東急世田谷線上町車庫見学ツアー」と「二子玉川駅駅長体験」を用意。

 つづく8月に受付を開始した川崎市では、「90分間運転台独占!東急線運転シミュレータ操作体験」を東急ふるさとパレット限定の返礼品として発表している。

 そして、包括連携協定を締結している自治体、北海道から沖縄まで、全国各地の自治体のふるさと納税返礼品、カニなどの海産物、牛肉などの畜産物、マンゴーのような果物まで、ふるさと納税ポータルサイトと呼ぶにふさわしい充実ぶりとなっている。

 JR東日本は東日本全域をカバーする鉄道事業者だが、東急は東京都・神奈川県の一部しか電車が走っていない。そのため、沿線人口や全国的な知名度は比べるまでもなくJR東日本が圧倒している。しかし、東急はそれを補うべく、自治体との密着度を深化させている。

ファンを増やす取り組み

 昨今、日本は人口減少が加速度的に進み、近年は東京・大阪といった大都市圏にも及んでいる。東京・大阪の鉄道事業者も利用者を囲い込むために沿線住民や地元自治体から親しまれる存在になる必要がある。ふるさと納税での連携は両者の距離感を縮めることに寄与し、それは利用者の囲い込みにもつながる

 ふるさと納税の制度は、社会情勢に応じて常に変化してきた。鉄道事業者も“ふるさと納税で地元自治体と連携”という新たな一手で次の時代に対応する術を模索する。

 こうした体験型の返礼品を用意しても、鉄道事業者にとって収支面で大きな貢献をすることはない。むしろ、作業は煩雑化するだろう。それでも、ふるさと納税で体験型の返礼品を用意することで沿線住民を単なる利用者から熱烈なファンへと変えることができる。そうした熱烈なファンは鉄道事業を支えてくれる大きな存在になる。

 JR東日本や東急のみならず、今後の鉄道事業者には単なる利用者という存在を超えた熱烈なファンを増やすような取り組みが求められることになるだろう。

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