大麻やコカインなどのドラッグが「未成年バー」で広がっている疑いがあるという
沖縄県警は今春、交通事故や薬物事犯の捜査を通じて、同様の成分を含むリキッド約150個を押収した。だが、その後も浦添市や那覇市で、未成年を含む摘発が相次いでおり、前出の捜査関係者は「若年層に浸透していることが最大の特徴だ」と警戒を強める。
問題の中心にあるのが、少年が動画を撮影したという「未成年バー」だ。18歳未満 の少年少女が集う違法な酒場で、飲食店が集まる那覇市松山や、那覇市に隣接する浦添市や、本島中部の沖縄市などの繁華街に点在しているという。普段は施錠され、顔見知りしか入れない仕組みになっているが、一歩中に入ればそこは無法地帯だ。
前出のエトミデートに限らず、大麻やコカイン、合成麻薬「MDMA(エクスタシー)」などさまざまなドラッグが、「未成年バー」で広がっている疑いがあるという。
定時制高校に通いながらバーで働いているという16歳の少女は、「うちのまわりでもハマっているコが多い。吸うと耳が遠くなって、赤ちゃんと話してるみたいになるから、すぐに『あ、こいつやってる』ってわかる。未成年バーのバーテンに勧められて始めたってコも結構いるよ」。彼女の証言は、未成年バーが薬物蔓延の震源地となっている実態を物語る。
沖縄では、違法ドラッグの温床ともなっている、こうした「未成年バー」の摘発が相次いでおり、9月30日には沖縄市で15~17歳の高校生5人とアルバイトの男(18)に酒を提供したとして、風営法違反の容疑で27歳の男が逮捕された。さらに同14日にも、高校生2人を含む16歳から19歳の少年少女9人が店内で集団飲酒していたとして、那覇市内の飲食店が摘発されている。
さらに、未成年への薬物禍の広がりの背景にはSNSの存在もある。Xで「笑気麻酔」や「手押し」と検索すれば、簡単に売人と接触できる。そこから秘匿性の高い通信アプリ「Telegram」や「Signal」に誘導され、取引が行われるのが常態化している。
資金を持たない中高生が、「プッシャー(密売人)」に回る例も後を絶たない。