シーシャのようなチューブからを何かを吸引している
前出の少年は、「友達もやってた。少量を仕入れて売りさばいて、儲けでまた買う。その繰り返しだよ」と語る。組織的に束ねる上位者はいるものの、背後に暴力団の影は薄く、むしろ20歳前後の若者グループが中心となっているようだ。こうして違法ドラッグを取り巻く“循環”が形成され、未成年自身が流通に関与する構造が出来上がっている。
酒と薬物、未成年の交わる場所が野放しになっている現実は、地域社会全体の治安悪化に直結する。県警側も「未成年バーは薬物や犯罪の温床」として今年に入り摘発を強化しているが、実態はいたちごっこだ。摘発を逃れた店は場所を変え、ネット上で再び顧客を募る。さらに規制強化によって薬物価格が高騰する一方で、依存に陥った若者は高額でも手を伸ばし未成年バーに足を運ぶ悪循環も生まれている。
エトミデートの蔓延は、単なる「一過性の流行」ではない。未成年バーという場が存在する限り、同じ構造は繰り返される。前出の少年は言った。
「あれはヤバい。吸ったら終わり。友達がどうなってるか見れば、誰でもわかるはず」
だが現実には、その「ヤバさ」が逆に仲間内での好奇心を煽り、新たな乱用者を生み出している。規制や摘発だけではなく、若者たちの居場所や選択肢を広げる取り組みがなければ、薬物の連鎖は断ち切れない。沖縄の夜の片隅で繰り返される未成年の宴は、社会が直視すべき深刻な問題である。