「ちゃん」付けが嫌だと思う人はたくさんいる(写真/イメージマート)
その3「嫌なら嫌だって言えばいいのに。言えないほうも悪いんじゃないの」
出た! 被害者にも落ち度がある理論。このセリフを聞いた人は「なるほど、性犯罪の被害者に平気で誹謗中傷の言葉を投げかけるのは、こういう人か」とか「自分が男性の上司であるってだけで、どれだけ周囲に気をつかってもらっているかを自覚していないなんて、どこまでおめでたいんだろう」と感じずにはいられないでしょう。
その4「40代で『ちゃん』付けしてもらえるなんて、ありがたいと思えばいいのに」
ありとあらゆる無神経さが凝縮された最低のセリフです。もはやセクハラと言っても過言ではありません。しかも、本人は「オレ、ちょっと面白いこと言った」と思っていそうなところが、さらに厄介です。同僚の女性が聞いたら、心の底から軽蔑し「この人とは、必要最小限しか関わらないようにしよう」と強く決意するでしょう。
その5「じゃあ、群馬県の『ぐんまちゃん』も『ぐんまさん』って呼ばないとね」
ぜんぜん関係ない話なのに、これも本人は「気の利いたコメント」と思っていそうなところがトホホです。「これからは『チコちゃんに叱られる!』も放送できないね」も同様。問題なのは「ちゃん」自体ではありません。セクハラに苦しんで訴訟を起こした女性に極めて失礼だと気づいていないところも、周囲を激しくガッカリさせるでしょう。
なぜオヤジは年下の女性部下を図々しく「ちゃん」付けしたがるのか
ほかにも、今まで「ちゃん」付けで呼んでいた女性部下に、ニヤニヤしながら「俺もセクハラって言われちゃうかな。ねえ、○○ちゃん」と言うのも、やめたほうがいいでしょう。強制的に「ぜんぜん嫌じゃないですよ」と答えさせられた部下が、これまでは寛大に許していた「ちゃん」付けに、今日から嫌悪感を抱く可能性は大いにあります。
そもそも、オヤジ世代が年下の女性部下を「ちゃん」付けするのが好きなのは、親しみを表現したいというより、相手を子ども扱いして自分が優位に立ちたいというセコイ了見がベースになっている側面があります。年下の男性を「ちゃん」付けする場合も、自分のほうが立場が上だと言いたい気配が漂いがち。本人は「気さくなオレ」を演出しているつもりかもしれませんが、多くは自信のなさを感じさせてしまっています。
もちろん、親戚の子どもや親しい関係の相手や幼馴染などは、どんどん「ちゃん」付けで呼んで、そういう関係だからこそ味わえる幸せを噛みしめたいところ。仕事のつながりでも、「ちゃん」付けがしっくりくる関係性が作れたら、とても素敵なことです。ただ、上のようなセリフがノドまで出かかっていた人は、悪いことは言わないので、会社での「ちゃん」付けは封印したほうがいいでしょう。今日もお仕事おつかれちゃんです。
