増税派の「ラスボス」の異名を取る宮沢洋一氏

 実際、小野寺氏は政調会長時代に年収の壁引き上げの自公国3党合意を結びながら、いざ、法案をまとめる段階で宮沢洋一氏(前税調会長)とともに減税規模を値切り、事実上、骨抜きにした張本人だ。自民党の積極財政派議員の1人は、「高市さんは税調会長の人選を間違った。小野寺氏は減税にストップをかける新たなラスボスになる可能性が高い」と語る。

 小野寺氏の後任の政調会長として党の政策をまとめるのがコバホークこと小林鷹之氏だ。財務官僚出身で税調インナーを務めた親財務省の政治家として知られる。

 この政調会長人事にも財務省の影がチラつく。

「党役員人事で高市さんは積極財政派の有村治子氏を政調会長にして政策を仕切らせ、コバホークは総務会長にするつもりだったが、麻生太郎・副総裁の意向で入れ替わったそうだ。自民党の政策決定の主導権を積極財政派に奪われたくない財務省の画策があったと見られている」(同前)

 政府が予算案や法案などを国会に提出する場合、事前に自民党政調の審査を経て、了承を得なければならない。

 田村氏が指摘する。

「税制・財政の政策決定の順番で言えば、小野寺税調会長の上に、税調インナーの序列3位だった小林政調会長がいる。そして財務大臣経験者で消費税減税に強く反対した鈴木俊一氏が党の方針を決める幹事長です。さらに執行部の後ろ盾は財務大臣を9年近く務めた財務省の守護神的存在の麻生副総裁ですから、税制・財政に関わる党4役のうち有村総務会長を除く3人が財務省人脈の政治家ということになる」

 税調インナーへ財務省が及ぼす影響力などについて小林事務所へ見解を求めると、「自民党税制調査会について、財務省や特定の支持団体等の意見を反映しているという指摘があることは承知している。しかし実際は、国民生活向上と経済成長を見据えた開かれた政策議論を行っている」とメールで回答した。

第3回に続く

※週刊ポスト2025年11月7・14日号

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