財務省が敷く“高市包囲網”(左から小野寺五典氏と小林鷹之氏/時事通信フォト)
始動したばかりの政権が、いきなり永田町・霞が関を揺るがす全面戦争の口火を切った。積極財政を掲げる高市早苗・首相は最大の障壁となる財務省を中心とした“増税マフィア”に閣僚人事などで正面から戦いを挑んだ。財務省サイドも水面下で反撃の準備を着々と進めている。政権発足早々事態は風雲急を告げている。【全4回の第2回。第1回から読む】
自民党税調に新・ラスボス登場
財務省に対して喧嘩上等の姿勢を見せる高市首相。まずは、“増税派の総本山”とされる自民党税制調査会(以下、党税調)の切り崩しを図り、増税派の「ラスボス」の異名を取る宮沢洋一・党税調会長を交代。「財務省出身者で固められたもの」「スタイルをガラッと変えたい」として、党税調を仕切っている財務省シンパの議員からなる非公式幹部会、いわゆる税調インナーの解体を示唆した。
当然、財務省の猛烈な反発が予想される。
その財務省は高市首相の攻勢に防戦一方に見えるが、そこは官僚らしく高市積極財政を骨抜きにするため自民党中枢にしっかり“包囲網”をめぐらせていた。
そのキーマンの1人が「ラスボス」宮沢氏に代わって党税調の新会長に就任した小野寺五典・前政調会長だ。財務官僚OBではなく、税調インナーの経験もないことから、高市首相が「財務省寄りではない」と判断して税調改革を任せた人物だが、積極財政派ではない。
元自民党政務調査会調査役で、政策決定の舞台裏を知る政治評論家・田村重信氏が語る。
「小野寺さんは自民党の政策責任者である政調会長経験者。政調会長は“大臣3人分のポスト”と言われ、財務省と二人三脚で各省庁の予算や政策を調整する仕事だから財務官僚とのパイプが太くなる。小野寺さんも財務省に理解が深い」
