年末の税制改正の時期にかけて、国会議員会館には税制優遇措置の延長や新設を求める各業界の代表が押し寄せ、自民党議員の事務所を回って陳情を重ねる光景は永田町の“風物詩”だ。自民党はそうした陳情を翌年度の税制改正に反映させることで、業界から献金や選挙支援を得てきた。

 租特や補助金は財務省の権益というだけでなく、自民党にとっても大きな政治利権なのだ。

 もし、高市首相が維新とともに官邸主導で廃止していけば、自民党の支持基盤を潰すことになる。自民党や財界、霞が関を挙げての激しい反発が起き、政権基盤が危うくなる可能性さえある。

 財務省はむしろそうなれば好機と見ている。

「財務省は税制優遇を縮小すれば税収が増えるし、本音ではコロナ対策名目で肥大化した各省の補助金も減らしたいが、これまでは自民党が反対するからできなかった。租特や補助金を大幅に削減すれば財務省より自民党のほうが多くの血を流すことになる。それを覚悟のうえで官邸がやってくれるというなら大歓迎だ。自民党や業界の恨みは財務省ではなく、高市総理と維新に向かう」(財務省OB)

 財務省へ積極財政の見解を求めたところ「日本の財政の国際的信認が失われることのないように、経済と財政の健全化の両立を図ってまいりたい」との回答だった。

 高市氏が租特や高額補助金の廃止に踏み込んできたら、財務省は逆に自民党議員たちに「業界への税制優遇や補助金を削って選挙基盤を失うか、それとも高市首相のクビを差し出すか」と迫るつもりなのだ。

 そうした抵抗をはねのけて、掲げてきた減税や積極財政を実現させるのか、早期退陣に追い込まれるのか。新政権は早くも重大局面を迎えている。

第1回から読む

※週刊ポスト2025年11月7・14日号

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン