ライフ

孤独死した部屋で腐乱死体の匂いを消す特殊清掃業者の消臭剤

孤独死の現場


 独居老人が増え続けている一方でこれをチャンスと捉え、様々なビジネスが展開されている。身辺整理、遺品整理、共同墓、話し相手サービスなどなど。なかでもこれから需要が多くなりそうなのが「死臭消しビジネス」だ。ノンフィクションライターの窪田順生氏が紹介する。

*************************
 あまり経験のある方は少ないだろうが、腐乱死体が発する匂いというのは凄まじいものがあり、一度こびりつくと数か月もの間消えないこともある。
 
 にもかかわらず、異臭どころか、まったくの無臭にする方法がある。腐乱死体や自殺死体がでた家屋を清掃、消臭、消毒によって原状回復を行なう「特殊清掃」を業務とするA&Tコーポレーションの高江洲(たかえす)敦社長が試行錯誤を繰り返し、独自に開発したバイオ消臭剤だ。

 独居老人の増加によって活況といわれる「無縁ビジネス」。故人の形見分けから家具の処分までを行なう遺品整理業をはじめ、ひとり暮らしの老人宅を訪れて「話し相手」になるサービスや、電話やインターネットを駆使した安否確認端末の販売……、様々なビジネスが台頭するなかで、これから間違いなくニーズが増えていくのが、この「死臭消しビジネス」だ。
 
 厚生労働省の「21年国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯962万3000人のうち、48.1%(463万1000世帯)が単独世帯。つまり、独居老人である。

 誤解を恐れずに言えば、孤独死をして、腐乱死体となる恐れがある高齢者が460万人もいるということなのだ。

 これらのうち一軒家の人はまだいい。死臭がこびりついても住人が亡くなったのだから解体すればいいだけの話だが、問題はアパートやマンションで亡くなる人々だ。ほかの住民もいるので、おいそれと解体はできないし、家主や不動産業者にしても「死の痕跡」をきれいさっぱり消し去り、新たな入居者は迎えなくてはいけない。そこで求められるのが、「死臭消しのプロ」だ。実際、「特殊清掃」に参入する業者は年々増えているという。
※SAPIO2010年10月13・20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン