国際情報

尖閣諸島の領有権を維持するために海上保安庁の予算増やせ

 竹島が韓国に実効支配され、尖閣諸島も中国に掠め取られそうである。日本の領土が危ない。尖閣諸島を狙う中国に日本はどう立ち向かえばいいのか。杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏が解説する。

************************
 平和ボケしている日本人が知っておかなければならないことは、「実効支配」とは、国旗の掲揚などの象徴的な行為ではなく、その地域に国家権力が事実上及んでいることである。つまり、軍事行動すらも是なのである。

 したがって、9月に尖閣諸島沖で発生した海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突で中国漁船船長を逮捕したことは、日本の国内法上の問題だけでなく、国際法上も正しいのである。

 日本が尖閣諸島を実効支配している限り、中国は国際司法裁判所に提訴することはできないし、だからこそ、中国はどんな手段を使っても実効支配を奪い取ろうとする。

 おそらく、この中国の横暴を国際的に解決する場所は、国連の安全保障理事会しかないだろう。日本は被害国として安保理に決議案を提出することができる。しかし、中国は常任理事国として日本の案を否定するだろう。中国が日本の国連常任理事国入りに反対している理由もここにある。ちなみに、台湾も尖閣諸島の領有権を主張しているが、台湾は国連に加盟していないため国連安保理に決議案を提出する資格はない。

 このジレンマのなかで、日本が尖閣諸島の領有権を維持、実効支配し続ける方法は、海上保安庁の予算を増やして、巡視船を装備すること。それが最優先課題だ。世界第6位の海岸線を持つ日本の海上保安庁としては、巡視船の老朽化も含め、あまりにも弱体だ。これで、大量に押し寄せる中国・台湾の領海侵犯漁船を排除することなどできるはずがない。

 また、現在のところ、領海侵犯を担当しているのは海上保安庁だが、海上自衛隊も出動できるよう法整備が必要であろう。海上自衛隊は武力攻撃された時のみ出動可能とされているが、中国・台湾の漁船が数百隻も領海侵犯してきたら日本政府はどうするつもりなのか。領海侵犯してきたものに対して、実力で排除する。そうしないかぎり、日本の尖閣諸島の実効支配は失われるしかないのである。

※SAPIO2010年11月10日号

関連キーワード

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン