カンボジアで起きた韓国人大学生死亡事件の主犯格とみられるリ・グァンホ容疑者
昨今、社会問題になっている「闇バイト」。SNSやネット上の掲示板で“高収入”などをうたい、実際に応募してきた人を詐欺や強盗に加担させる新手の犯罪手法である。特に稼ぎの少ない若者や、借金に苦しむ人が巻き込まれるケースが多く、昨年度は4000人近くが闇バイトで検挙された。
そんな闇バイトだが、最近ではもはや国内だけの問題に留まらない。ことし夏には韓国籍のある20代男性が悲劇に遭った。在韓ジャーナリストが話す。
「7月17日、大学生のパクさんは家族に『現地の博覧会に行く』と伝えカンボジアに向かったが、その後に連絡が途絶え、翌月8日に同国南部のボコール山近くにあった車の中で亡くなっているのが発見された。現地メディアによれば、パクさんは大学の先輩に『(現地で)銀行の通帳が高く売れる』と誘われ、カンボジアを訪れていたとみられています。勧誘を行った学生は10月23日、検挙されました 」
目先の金で人の興味を惹く──典型的な闇バイトの手法だ。パクさんの身に一体なにが起きたのか。
「パクさんは現地に着いたあと、中国系犯罪組織に身柄を拘束され、作業場のような場所に連れていかれた。殺害する前に、組織の人間がパクさんの家族に電話をかけ、『海外に売るぞ』『息子が事件に巻き込まれた』などと脅迫し、5000万ウォン(約530万円)近い金銭を要求していたこともわかっています。この電話から4日後、パクさんは完全に音信不通となった」(同前)
韓国大統領の直属機関である国家情報院はその後、カンボジア警察と連携して容疑者を捜査。10月には当局が30〜40代の中国人3名を殺人と詐欺への関与で逮捕、起訴したが、この男らは遺体を運んでいただけで組織の主要メンバーではなかった。
事件が動いたのは11月末のことだ。
