国内

東海村臨界事故の“被曝者” 毎晩かゆみと痛みで眠れず

 東日本大震災による福島第一原発の放射能漏れ事故を前に日本中が紛糾をしている。汚染された水、野菜、日々の政府発表におののく毎日だ。12年前の“被曝者”大泉昭一さん(享年82)はその人災を「魔の出来ごと」(『JCO臨界事故から10年を迎えて~語り継ぐ思い~』より)と書き遺していた。

 茨城県東海村JCO臨界事故は、1999年9月30日、ウラン溶液の加工中に臨界となり、作業員2人が死亡、住民約600人が被曝した惨劇だった。当時、昭一さんと妻・恵子さん(71)は現場から80mの町工場で被曝した。

「被曝後、もともと弱かった主人の皮膚は全身がひび割れたようにしわが走るようになりました。医師は明確な病名をいいませんでしたが、毎晩、かゆみと痛みで眠れずにいました。それに爪と皮膚の境目がくっついて、痛くて動かせないの。指先が痛くてワイシャツのボタンも自分で留められなくて…。毎日、病院の皮膚科でもらった治療薬を私が主人の顔から全身に塗るんです。そうしなければ皮膚がぼろぼろとむけてしまって…」

 そう話す恵子さんも、口内炎とひどい下痢に悩まされ、PTSD(心的外傷後 ストレス障害)となって2度、自殺未遂をはかった。

 そして今年2月7日、昭一さんは亡くなった。生前は放射能の恐ろしさを伝える活動を続けていた昭一さん。

 「最後まで“『臨界事故を語り継ぐ会』をやってくれるか”と口癖のようにいうので“大丈夫よ。私が続けていくから安心して”と伝えるたび、主人は笑顔を浮かべていました」

 福島原発については避難区域の人のことを考えると、ニュースなどはとても見られないという。「地震多発国である日本には原発はいらないと思います」。恵子さんは、固く口を結んだ。

「四十九日が過ぎたいまでも遺骨は自宅に置いています。今回の地震でお寺が被害に遭ったため納骨できないんです。早く主人をゆっくりと眠らせてあげたいと思っているのですが」と、恵子さんは昭一さんの遺影を見つめた。

※女性セブン2011年4月21日号

関連記事

トピックス

不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した(時事通信フォト)
《国民民主党の支持率急落》山尾志桜里氏の公認取り消し騒動で露呈した玉木雄一郎代表の「キョロ充」ぷり 公認候補には「汚物まみれの4人衆」との酷評も出る
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン