国内

上杉隆氏 ネット規制法案問題で「誤報とデマは違う」と反論

ツイッター上で「ネット規制強化法案」に関する「デマ騒動」が4月11日に発生。一体それは何だったのか? ジャーナリストの上杉隆氏が語る。

* * *
〈火事場泥棒。言論の自由への挑戦。情報暗黒内閣の正体露に〉――4月11日、私がツイッターで、ネットに掲載された『週刊ポスト』(4月22日号)の「菅政権、震災のドサクサの中で『ネット規制強化法案』を閣議決定」との記事を引用しながらつぶやいたところ、大きな反響があった。ソフトバンクの孫正義氏は〈本件に抗議して、今から3日間tweetやめます。ハンガーストライキみたいなもんです〉としてツイッターを停止した。

ところが私のつぶやきに対し、「デマ」だとの批判が巻き起こった。批判者は「閣議決定は震災当日の午前中だからドサクサではなく、しかも法案はウイルス作成罪に関するもので、ネットを規制するわけではない」というのだ。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏までが拡散に協力し、デマ批判が広まった。

確かに、閣議決定のタイミングは『週刊ポスト』も翌号で訂正していたように当日の午前中であった。しかし、私は日付など問題視していなかったし、気にもしていなかった。問題はこの法案の中身である。

私はこの法案を何年も前から取材してきた。批判者は、「ネットを規制するわけではない」というが完全に間違っている。この法案は、ウイルス作成罪以外に、捜査当局がプロバイダなどに対し裁判所の令状なしにネット上の通信履歴の保管を要請できる条文を織り込むなど、「言論統制」につながる可能性があるとして、ここ数年、危険視されてきたものだ。国会議員の中にも、法務委員の辻恵議員(民主党)が反対しているように、「言論統制」の第一歩とみる向きが強い。しかも、閣議決定された法案を震災後の4月1日に国会提出したのだから、立派なドサクサ紛れの「火事場泥棒」である。

そもそも誤報とデマは違う。確かにポストの記事には時期の間違いがあったが、意図的にウソを流すデマとは違う。当然、私のリツイート(転載)にデマを流す意図はなく、単に危険な事態が進行していることを示したのみである。

私が菅内閣に対してずっと使ってきた文言――「情報暗黒内閣」による「火事場泥棒」はこの法案だけを指したものではない。

4月6日、総務省は、プロバイダ等の業界団体を通じて、「インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することを含め」た必要な措置を講じるよう、通達を出した。政府の「被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチーム」が同日、被災地での犯罪防止や治安維持について対策をまとめたのを受けて出された、「ネットデマ削除要請」である。

孫正義氏はストライキからの復帰後、この通達と前出の法案について〈両方は、深い所で関連。両方とも問題が内在。この両方などで言論統制の恐れに対しストライキしました〉とツイッターで言明した。

※週刊ポスト2011年5月6日・13日号

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン