国内

原発警備体制はまったくザル 近隣住民が敷地でキノコ狩りも

「想定外」の津波により発生した福島第一原発の事故は日本にテロ攻撃を目論む者たちに、いかに少ないコストで多大な効果を引き出せるかを図らずも示してしまった。津波をテロに置き換えた場合、警備の内実は実に心許ない。ジャーナリスト、田上順唯氏がレポートする。

 * * *
「東日本のある原発では近年までゲートの警備も徹底されず、入構証さえ持っていればほとんどの『協力企業』の日雇い労働者もフリーパスで施設内に入ることができた。

 そのような状況だから情報収集を目的とする補助工作員と目される人物が入り込んでいたこともあった。反対運動が過激だった時代には、原発の稼働寸前に金網が破られている。駆けつけると近所の住民が敷地内でキノコを採っていた。信じられない光景だった」

 長年、原発警備にあたっていた県警捜査員はため息をつく。この証言を補足するのは「警察と犬猿の仲」だった活動家の男性だ。

「抗議行動の際、正門前から抗議のため原発内に入ろうとしたが警備に阻まれた。せっかく遠くから来たのだからと、ダメ元で裏に回ったところ通用口が開いていたので、敷地内に入って抗議した」(元学生運動家)というように、かつての原発の警備態勢は「まったくの『ザル』だった」と両者は口を揃えるのだ。

 長く「牧歌的」でさえあった原発警備を変えたのは2001年に発生したアメリカ同時多発テロだ。その後、監視カメラや侵入者警戒システムも完備され、警備にあたる警察官も「機関けん銃」と呼ばれるサブマシンガンを持った特殊訓練を経験した警察官が配置されるようになった。

「万全の警備態勢」(東電関係者)のように見えたが、3月31日、福島第二原発に抗議の街宣車がゲートを突破して侵入し、敷地内を走り回る事件が発生するなど、問題点は残る。

※SAPIO2011年6月15日号

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン