ライフ

肺がん治療薬イレッサ 2週間でがん細胞がほぼ消滅した例も

 日本人のがん死亡原因の第1位は肺がんで、毎年7万人近くが亡くなっている。肺がんには小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4種類があるが、2000年代に入っても小細胞がんと、それ以外の非小細胞がんの2つに分類することだけで治療法が決定されていた。

 1980年代以降、分子生物学が発達し、がん細胞の増殖や転移に関係する遺伝子の解明が進み、その働きを抑制する新しいタイプの抗がん剤である分子標的薬が開発されてきた。肺がんに関しては2002年にゲフィチニブ(イレッサ)、2007年にエルロチニブ(タルセバ)が保険承認されている。

 愛知県がんセンター中央病院副院長で呼吸器外科部長の光冨徹哉医師に話を聞いた。

「従来の抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞も攻撃するので、治療による副作用が強く、がん細胞に対する効果も不十分でした。分子標的薬はがん細胞で活性化している特定の分子をターゲットにするため、がんに特異的に作用し、効果が高く副作用が少ないのが特徴です。イレッサやタルセバはEGFR(上皮成長因子受容体)という遺伝子の変異に対する薬です」

 当初からイレッサは肺がんのうちでも、日本を含むアジア人、女性、非喫煙者、腺がんに効きやすいことがわかっていた。中には2週間でがん細胞がほぼ消滅した例もある。

 光冨副院長が語る。

「2004年に、このような劇的な効果をもたらす肺がんには、ほぼ全例にEGFR遺伝子突然変異があることが明らかになりました。日本では肺がんの70%が腺がんですが、この半数近くにEGFR変異が認められ、変異は女性や非喫煙者に頻度が高くなっています」

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2012年3月23日号

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン