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経済の千里眼氏 EU危機は世界を恐慌に陥れる可能性低いと分析

 本誌・週刊ポストで相場と経済の「先読み」を次々と的中させてきた国際金融コンサルタントで「経済の千里眼」の異名を持つ菅下清廣氏は、近著『相場の波動はシンプルに読め!』(小学館刊)の第一章で、今年の世界経済を左右する「4つのキーポイント」を指摘し、その第1に「ユーロ危機の行方」を挙げた。
 
〈EUが何らかの再構築を迫られる、言い換えれば崩壊する可能性が高まるということです。

 第一に考えられるのはPIIGS(※財政の弱いポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインのこと)がEUから離脱することです。
 
 または、ドイツ、フランス、北欧3国など豊かな国で作る「ノースユーロ」と、PIIGSなど地中海沿岸の南ヨーロッパ諸国が集まる「サウスユーロ」に分裂するパターン、さらには、重債務国がEUの監理ポストに入るパターンもありえます。〉(同書より)
 
 ギリシャやフランスの急旋回を見ると、またも「経済の千里眼」の、あまり喜ばしくない予測が当たってしまうのではないかと思えるが、菅下氏は同書で前述の予測を「悲観シナリオに傾く場合には」と断わって述べている。では楽観シナリオはどうなるのか。同書にも詳しいが、EUの現状を踏まえて改めて分析してもらった。

「ヨーロッパで起きている信用不安は『モグラ叩き』です。ギリシャ危機が去ったと思えばスペイン、それが落ち着いたらまたギリシャ、といったように順繰りに続いていくでしょう。ギリシャ政局によっては、同国のユーロ離脱もあるかもしれません。

 ですが、それらの世界経済への影響は限定的です。市場はすでに危機の連鎖に慣れてきており、世界を恐慌に陥れるようなEUショックは起きにくい。また、欧州中央銀行のドラギ総裁は、昨年来の危機に大規模な金融緩和で対抗し、これを鎮静化したノウハウを得ている。ドイツやフランスがEU、ユーロの枠組みから離脱するような最悪の事態を避ける手はまだ十分に残されています。

 5月いっぱいくらいは、市場は様子見で下落や調整が続くかもしれませんが、長期的にはそんなに悲観的ではないと見ています」

※週刊ポスト2012年5月25日号

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