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バス運転手 家族には安全な「右側の通路寄り」に座るよう指示

 GW中に関越道で起きた貸切ツアーバス事故は、死者7名の大惨事となったが、犠牲者は全員「左側」の座席に座っていた。過去20年間の重大事故を分析すると、バスで最も安全な座席は「中央右側」であることがわかった。では、最近の長距離バス人気の高まりの中で増えている「2階建てバス」の場合はどうか。

「一度に倍のお客様を運べるので利益率が高い」(バス運行会社関係者)というが、あるバス会社のベテラン運転手はこう語る。

「車高の高い2階建てバスには高い運転技術が求められる。特に乗客が少ない便では、車体の大きさに比べて重量が極端に軽くなるため、高速道路のカーブでは横風に煽られる感覚になる。運転手にとっては厄介な乗り物です」

 ある運転手は「自分が客として座るなら絶対に1階席です」という。

「横転事故が起きれば、車高の高い2階席は叩きつけられた時の衝撃が大きい。家屋ならば1階は上層階に押し潰される危険がありますが、上部から圧力が加わるようなバスの事故は考えられません。天井が低く圧迫感を感じるというデメリットはありますが、ほとんどの時間は寝ているから関係ない(笑い)」

 長距離バスのヘビーユーザーはこんな「自己防衛策」を語った。

「料金は4列シート(2列×2)より割高になりますが、3列シートのバスを利用しています。隣の乗客が脱出の邪魔にならず、通路が2つあるので逃げ道を確保しやすい」

 また、前出のベテラン運転手はこう明かした。

「交代運転手がいる長距離路線では、事故が起きた場合に2人で避難誘導をするためにパニックが起きにくい。ただ、2人とも車内前方にいるため、後方の乗客の誘導が疎かになる可能性があります」

 いずれにしても、運転手や整備士が口を揃えるのは、「自分なら左側前方には絶対に座らない」という点だ。

「荷物の持ち運びが楽で、景色を見やすいことに加え、トイレ休憩ですぐに降りられるという理由もあるので特に女性は左側前方の席を好みますが、このエリアはあらゆる種類の事故で被害を受けるリスクが高い。自分の家族が利用する時には、“子供を右側の通路寄りに座らせろ”といっています」(関西の長距離バス運転手)

※週刊ポスト2012年5月25日号

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