国内

沖縄教育は「反日」と「親中」のセットと教育専門家評する

 以前、沖縄の大学准教授らが沖縄の住民にアイデンティティを質問したところ、答えの割合は「日本人」が25.5%、「沖縄人で日本人」が29.7%、「沖縄人」が41.6%だった(「沖縄住民のアイデンティティ調査2007」)。なぜかくも「日本」への帰属意識が低いのか。高崎経済大学教授の八木秀次氏が解説する。沖縄では旧日本兵を“鬼畜”扱いする“反日教材”を使った教育も行われているというが、それだけではないようだ。

 * * *
 沖縄では「親中教育」も行なわれている。そのことが象徴的に表われているのが、自衛隊の配備問題に対する姿勢や、沖縄の帰属の歴史的経緯についての解釈である。

 例えば、昨年11月、国境の島として陸上自衛隊の配備計画のある与那国町内の中学校で、生徒が校内で自衛隊誘致に反対する町民団体の用紙を使って署名運動をしていたことが発覚した。校長は「政治的、宗教的に中立を求められる学校にふさわしくない」として署名用紙を没収したが、地元メディアや沖縄県教職員組合(沖教組)は逆に校長を指弾した。

 生徒のこの行為の背景に沖教組の指導があったのは明らかだ。実際、与那国町の属する八重山地区では、沖教組の支部が、その機関紙『八重山教育情報』(第1号、2012年4月13日)で、北朝鮮のミサイル発射に対応して石垣島に配備された自衛隊のPAC3について「配備の目的は、必要以上に住民不安を煽り、防衛計画にある南西諸島への部隊配備への素地づくりに思えてならない」と、配備に反対する声明を掲載している。

 さらに、「石垣には今四五〇人もの自衛隊がいます(中略)先の大戦を彷彿させるようなことが今現在現実に起こっています」と、自衛隊を“鬼畜・日本軍”と重ね合わせ、その配備に反対しているのである。

 こうした主張が誰を利するのか明らかだろう。

 2010年9月の「尖閣諸島中国漁船衝突事件」の際、中国で起きた反日デモでは「収回琉球、解放沖縄」という横断幕が掲げられた。事件の直前には、中国共産党系の雑誌『環球時報』2010年9月19日号が、「琉球は明治政府が中国から強奪したものだ。今でも日本政府は琉球独立を弾圧している。琉球人は中国の福建と浙江、台湾の人間だ」とする論文を掲載していた。

 昨年8月、八重山地区(石垣市・竹富町・与那国町)の教科用図書採択地区協議会は、今年度から使用される中学校教科書として育鵬社版の公民教科書を採択した。これは私もメンバーになっている「教科書改善の会」が編纂する教科書で、尖閣諸島を「我が国固有の領土」と明記し、自衛隊の意義を説いている。地元関係者には敬意を表したい。

 ところが、竹富町では教育委員会が決定に従わず、東京書籍版を採用するとし、沖縄県教育委員会もそれを支持した。明らかな違法行為だが、県教委の幹部は沖教組出身とされる。また、石垣市の小学生とその保護者が、県と市を相手取り、東京書籍版を無償で受け取れることの確認を求める訴訟を起こしている。

 その東京書籍版の歴史教科書では、沖縄は「(中国皇帝への)朝貢体制の中で繁栄した『琉球王国』」とされ、沖縄県の設置についても「政府は1879年、軍隊の力を背景に、琉球の人々の反対をおさえつけて、沖縄県を設置しました」と記述されている。見事なまでに「沖縄は本来、中国に帰属する」という中国側の主張に呼応し、まるで「収回」してくれと言わんばかりなのである。

 反日教育、そしてそれとセットになった親中教育--これが復帰40年を経た沖縄教育界の現実である。

※SAPIO2012年6月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン