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高橋克也容疑者逮捕の鍵は「匂い」「体臭」にありと女性作家指摘

 元オウム真理教の高橋克也容疑者は、隠れ家やアジトではなく漫画喫茶で逮捕された。やや意外な展開ともいえるが、彼が漫画喫茶を選んだのには理由があると、作家で『五感のチカラ』著者の山下柚実氏は指摘する、以下は、山下氏の視点である。

 * * *

 とうとう逮捕された元オウム真理教信者高橋克也容疑者。まさか、都内大田区の漫画喫茶で、「顔が似ている」と通報され捕まるとは。隠れ家やアジトがあると言われていたわりには、あまりにもひねりの無い逃走劇でした。

 逃走してから数日間。なかなか新しい情報が出てこなくなり、あわやこのまま逃走か、という緊迫の中。テレビで繰り返し、ある指摘をしていたのが、オウムなど宗教被害やインターネット犯罪に詳しい紀藤正樹弁護士でした。

「一週間もたつと水場がテーマになるはずです」と紀藤弁護士は、何度もそう強調しました。

「風呂に入らずに逃げていると、身体や服の汚れが気になりはじめます。身体や服を洗おうという行動に出るはずだから、水のある場所、身体を洗える場所に特に注意すべきです」

 なるほど、漫画喫茶とは、不特定多数の人がトイレや洗面所を通常よりしっかりと使い、シャワーを浴びても、さほど不思議がられない空間。紀藤弁護士の予測が、ピタリ当たった、ということでしょうか。

 それが事実だとすれば。「匂い」「体臭」というものが、人の意識にとって想像以上に影響を与え、その行動を形成する、ということが見えてくる気がします。

 逃げる時に、顔や体など洗ってはいられない。考えればそのとおり。しかし、そうした「冷静な理屈」を超えて、気になり始める。洗わずにはいられなくなる。誰かに自分の匂いを嗅がれ、何か感付かれるのではないか。自分自身にとっても体臭が気になってしかたなくなるとすれば……。

 生理学的にも、五感のうちで、「匂い」にまつわる「嗅覚」情報だけは特別だと指摘されています。

「ニオイの情報だけは、理性的な判断を下す『大脳新皮質』ではなくて、感情や記憶を生み出す古い脳とも言われる『大脳辺縁系』の近くへダイレクトに入る。だから理性的な判断を下すその前に、ニオイが記憶や感情の脳領域を瞬間的に激しく動き回り、私たちを揺さぶるのです。ニオイは肉感的とも言える」

 そんな話を生理学者から聞きました。

 たとえば、ガスの「匂い」を思い出せばすぐわかる。それを嗅いだとたん、何か考える前に、「危ない!」と反応して窓を開けるはずです。ガスを止めるはずです。本来、ガスは無臭。しかしガス漏れにすぐ気付くようにと、臭いをわざわざ付けているのです。

 それくらい、「匂い」に対する私たち人間の反応は鋭くて反射的ということでしょう。匂いは理性よりも先に、感覚的に訴えかけてきて、私たちは行動してしまうのです。

 高橋容疑者が漫画喫茶に立ち寄らざるをえなかったその理由が、もし、「匂い」にあったとすれば。五感の力を侮ってはいけない、ということでしょう。

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