ビジネス

オバマ再選にFBのザッカーバーグが決定的な影響と専門家指摘

 世界的な超金融緩和によって溢れだしたマネーはこれからどこへ流れ込もうとしているのか。その先鞭を付けるのは機関投資家やヘッジファンドだが、その動向に詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表兼チーフ・ストラテジストの宮島秀直氏は、アメリカの「エグザバイト革命」に彼らは大いに注目していると指摘する。その恩恵をいち早く受けるのはどういう業種、企業になるのか、宮島氏が解説する。

 * * *
 目下の外国人投資家の最大の関心事といえば、徐々に近づきつつある米大統領選挙だ。直近の世論調査を見ると、現職オバマ大統領と対抗馬となる共和党ロムニー候補との支持率が、かなり接近してきた。オバマ再選を楽観視できる状況ではなくなっている。

 そもそも、オバマの支持率は3月末時点で40%台半ばと低迷していた。戦後に誕生した米大統領11人のうち、選挙が行なわれる年の3月末の支持率が50%以下で再選されたのは、ジョンソンのみ。そのジョンソンは、辛うじて再選を果たしたものの、低支持率での勝利のため、当選後、年末にかけて株価は下落し、経済運営が困難を極めたことで知られている。

 そこで、オバマ陣営としては、支持率を安全圏と呼ばれる50%台に早急に引き上げる必要がある。そのために、今後、大々的なテレビCMによるキャンペーンを展開すると予想されている。

 これは、2008年の大統領選挙における民主党代表選で、オバマがクリントンに勝った勝因が、テレビCMを中心としたメディア戦略にあったことを、選挙のコンサルティング会社であるキャンペーン・メディア・アナリシス社のアナリストが、ヒアリングで明らかにしたのだ。そして、大々的なテレビCMを展開するには、オバマ陣営の選挙資金に最低でも100億円程度の不足が生じると推計している。

 オバマ陣営は、その巨額の不足資金をどう調達するのか? 米民主党幹部と情報交換を活発に行なっている複数のヘッジファンドから、選挙資金の不足分は、フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグがサポートをするというコメントが多数聞かれている。「オバマ大統領の再選にザッカーバーグが決定的な影響を与える」というのは、コンセンサスといっていいようだ。

 昨年の一般教書演説で、オバマ大統領は、「フェイスブックやグーグルなどのウェブカルチャーは世界の人々の人生を変える」と賛辞を送り、ザッカーバーグとの距離が急速に接近したと言われている。

 以後、お互いに自宅を訪問したり、ザッカーバーグが10万人のフェイスブック登録者とリンクさせた大統領とのタウンミーティングを開催したほか、フェイスブックのCOO(最高執行責任者)で世界的に著名な女性経営者であるサンドバーグの自宅で、選挙資金集めを目的とした会費3万5000ドル(約280万円)のパーティーを開いたりと、強力なサポート体制が築かれつつある。

 オバマ大統領および米国政府に影響力を強めているのは、実は、ザッカーバーグ=フェイスブックだけではないことが、米国議会の公表データから明らかとなっている。フェイスブック以外にも、グーグル、ネットフリックス(オンラインDVDレンタル会社)といった米国を代表するウェブ企業がロビー活動を行なっているのだ。上記3社のロビー活動費は足下で急増しており、昨年10‐12月期だけで合計450万ドル(約3億6000万円)に上る。

 こうしたウェブ企業のロビー活動の目的は、次のようなものだ。米政府のインターネット上の個人情報保護政策の調整や、映画や音楽などの複製/転送規制の緩和、そして、中国政府などのネット上の情報統制に対する国家的な抗議を働きかけること、などである。

 さらに、機関投資家が最も注目しているのが、これらのウェブ企業が加速度的に膨張しつつあるネット上の情報処理量に対応した、公共的なネットワーク・インフラの構築を強く要請していると見られる点。すでに、ネット上の情報量は「エグザバイト」(10の18乗=100京バイト)の時代に突入していると見られ、ネット上で起きつつある「エグザバイト革命」に対応したインフラをウェブ企業が必要としているのである。

※マネーポスト2012年夏号

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン