ライフ

菅原文太氏 農繁期でなければ官邸前脱原発デモ行きたかった

 自身、被災地である宮城県出身で、震災後は積極的に支援活動を行なってきた俳優・菅原文太氏(78)。テレビ、ラジオに出演する傍ら、3年前から山梨県で農業を営む菅原氏が、原発再稼働と脱原発デモについて語る。

 * * *
 もう、日本から消滅したかと思っていたが、まだ、「希望」は残っていたんだねえ。本当に久しぶりだよ、国会前にデモ隊が集まる光景を見たのは。老いも若きも、皆が立ち上がった。経産省の前をタクシーで通りかかると、反原発のテント村があったが、こんな光景は久しぶりだ。

 この40年くらい、日本人は芸能人のコンサートやマラソンや野外のフリーマーケットには集まっても、デモには集まらなかった。デモの主催者の発表と警察発表で参加人数があまりにも違うが、これはいつものことだ。昨年、中東や北アフリカで巻き起こった民主化運動「アラブの春」に比べれば、スケールはまだ小さいけれど、市民が自らの意志で立ち上がったという点では同じだよね。

 日本に絶えて久しかった、こうした熱気が復活したのは、「原発事故」や「原発再稼働のやり方がおかしい」という気持ちが人々を動かしたからだろう。国会前に集まった市民の姿は爽やかで、オレも農繁期で忙しいので行けなかったが、デモに出かけたかったくらいだ。有名人が集まって抗議声明を出すような会には誘われるが、それより、こういう普通の人々が静かに集まるデモが、底からの願いや意志が強く伝わってくる。

 とはいえ、オレもこの福島原発の大事故が起きるまでは、原発というものをまったく気にせずに生きていたから、そんなにエラそうなことは言えない。

 昔、福井県の敦賀でロケがあったときに、町並みがピカピカで、道路の舗装にも模様付きのタイルが使われていて驚いたことがあった。奇異に感じて、薬局で尋ねたら「原発のカネが入ったから」という答えが返ってきた。今思えば、この体験をきっかけに勉強を始めればよかったと残念でならない。

 福島県浪江町には、かつて、生涯にわたって節を曲げなかった苅宿仲衛(かりやど・なかえ、1854~1907)という自由民権家がいて、そのひ孫の大和田秀文さんは50年間にわたって反原発運動に取り組んできた。こういう人々の声に耳を傾け、もっと早くから国民的レベルで反原発運動を盛り上げ、原発を止めていれば、あんな事故は起きなかった。

※SAPIO2012年8月1・8日号

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された
《水戸市・31歳ネイリスト女性死亡》「『誰かのために働きたい』と…」「足が早くて活発な子」犯人逃走から6日間、地元に広がる悲しみの声
NEWSポストセブン
浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化
《声をかけて寄り添って》浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化 沈黙から一転、見られていた「雪解けの予兆」
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された秋篠宮家次女・佳子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀で見せた“ハート”》佳子さま、“お気に入り”のエメラルドグリーンドレスをお召しに 刺繍とハートシェイプドネックがエレガントさをプラス
NEWSポストセブン
元仙台高裁判事の岡口基一氏
「裁判所当局が嫌がった核心は白ブリーフだった」 弾劾裁判で法曹資格を失った岡口基一氏が振り返る「岡口裁判の急所」とは 裁判所と司法記者クラブの問題点も指摘
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された皇后雅子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀の“ブルーリンク”コーデ》皇后雅子さまはスタンドカラーでフォーマルに、愛子さまはマオカラー風で親しみやすさを演出
NEWSポストセブン
ネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された水戸市のアパート
「赤ちゃんをかばおうとしたのか…」「複数の凶器で犯行」水戸市で死亡のネイリスト女性(31)がかつて警察に相談していた“人間関係トラブル” 
NEWSポストセブン
1995年、チャリティーゴルフ前夜祭に参加した“ジャンボ”こと尾崎将司さん(左)と長嶋茂雄さん
【追悼・ジャンボとミスターの物語】尾崎将司さんと長嶋茂雄さん、昭和のスポーツ史に名を刻んだレジェンド2人の重なる足跡 ライバルと切磋琢磨し、後進の育成に取り組んだ
週刊ポスト
松田烈被告
「スマホから『映してください』と指示の声が…」ネットで“性的暴行してくれる人を募集”した松田烈被告(28)、被害女性が語った“外道すぎる犯行”
NEWSポストセブン
真美子さん(共同通信)が使用していたブランドとは
《ハワイ・ファミリーデートで真美子さんが持っていたプチプラバッグ》「同年代インフルエンサーのアスレジャーブランド」か?と話題に 実用性の高いトートバッグ、大谷は「娘のベビーカー担当」
NEWSポストセブン
郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「奥羽山脈周辺に“異常変動”が集中」「千葉県が大きく沈降」…2026年初めに警戒すべき5つの地域
週刊ポスト
ジャーナリストの溝口敦氏(左)とフリーライターの鈴木智彦氏
《溝口敦氏×鈴木智彦氏が対談》山口組抗争終結後の暴力団 勝ったはずの六代目山口組含めて勢力は縮小、トクリュウのほうが経済規模も大きく勢いがある現状
週刊ポスト