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韓国「東海」主張に「イランはペルシャと呼ぶのか」意見出る

 韓国で増長する“反日”を表わす例は「従軍慰安婦」以外にも枚挙に暇がない。竹島の不法占拠や「東海」呼称問題はよく知られているが、事は政治・外交にとどまらず、文化にまで拡がっている。反日のためには歴史や起源を捏造することすらためらわない、ゆがんだ反日観を検証しよう。

「日本の1892年の地図で、独島は韓国の地と確認」……今年3月28日付の韓国紙・ハンギョレにこんな見出しの記事が載った。地図を見ると、韓国に近い島に「竹島」、日本と韓国の中間にある島に「松島」と記載され、松島は日本領を示す赤で、竹島は領外を示す白で示されている。日本人でも竹島問題に疎い人なら、記事を本気にするだろう。

 すでに知られている通り、19世紀頃、現在の竹島(韓国名・独島)は松島と呼ばれ、鬱陵島が竹島と呼ばれていた。つまり、この地図は、むしろ竹島が日本領だったことを示す有力な証拠なのだが、韓国の新聞は「呼称の歴史的変遷」を無視し、「韓国領の証拠である」として掲載した。

 韓国側の「独島は我が領土」とする根拠は所詮このレベルだが、なりふり構わず不法占拠を正当化する行為は相変わらず続き、韓国国民の反日感情をエスカレートさせている。

 今年春には、韓国の教育科学技術部(日本の文科省に相当)が、小学6年生、中学3年生、高校3年生を対象として「独島学習副教材」約200万部を配布すると発表。子供たちに反日精神を植え付けようとしている。

 現在、韓国の国土海洋部は、竹島に観光客船が着岸できる大型埠頭や観光施設の建設を計画している。2013年に着工し、2016年までに完成する予定だ。

 島根県竹島問題研究会座長の拓殖大学・下條正男教授は警告する。

「これまで韓国はヘリポート改修や住民宿泊所の拡張などすべて計画通りに進めてきた。埠頭や観光施設もすでに設計を始めていると見られます。しかし、日本政府には阻止する戦略どころか、その意志さえ見られない」

“やりたい放題”の竹島に加え、韓国が官民を挙げて執心しているのが日本海の呼称を「東海」にすることである。

 今年4月にモナコで開かれた国際水路機関(IHO)の総会に、韓国は16人もの代表団を送り込み(日本は9名)、日本海に「東海」を併記するよう要求。それに合わせて、一般の韓国人らが米ホワイトハウスのホームページに「東海」呼称を求める約10万件の署名を書き込み、サーバーをダウンさせた。

 結局、IHOでの議論は平行線をたどり、日本海の単独呼称継続で決着。米政府も7月に「『日本海』と呼ぶのが長年にわたる米国の方針」と、韓国側の要求を退けた。が、5年後の次期総会で同じことが繰り返される可能性は高い。

 韓国は「17世紀までは東海と呼ぶのが普通だった」と主張しているが、この件について、英字紙コリア・タイムズの記者アンドリュー・サーモン氏は4月30日付の記事で、この論理を批判している。

「前近代の地名に戻すべきだとする国際的方針はない。イラクは“メソポタミア”に戻るべきか? イランは“ペルシャ”と呼ぶべきか?」

 国際世論は必ずしも韓国の思惑通りになってはいないが、それでおとなしくなる国でもない。

※SAPIO2012年8月22・29日号

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