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発症後約3年で死亡する多発性骨髄腫に新薬 約30%完全寛解

 体内に異物が侵入すると、リンパ球の一つであるB細胞が刺激され形質細胞に分化し、免疫グロブリン(抗体)というタンパク質を作り、異物を攻撃する。多発性骨髄腫は、形質細胞ががん化して骨髄の中で異常に増殖、Mタンパクという役に立たない抗体を大量に作る病気だ。

 発症すると、造血作用が抑制され貧血や白血球減少、少し動いても骨折する、病的骨折による激しい痛みや感染症、腎障害など全身で様々な症状がおこる。

 発症ピークは50~60代だが、20代での発症もまれにある。血液検査で血液総タンパクの量の増加で発見されることも多く、発症前の「くすぶり」と呼ばれる無症状病態を経て発症する。

 日本赤十字社医療センター血液内科部長の鈴木憲史副院長に話を聞いた。

「1980年代はMP療法など抗がん剤が中心で、発症後約3年で死亡する治療困難な病気でした。その後、末梢血幹細胞移植が導入され、5年生存が可能になったのです。近年は新薬のサリドマイド、レナリドミド、ボルテゾミブが登場し、約30%で症状が鎮静する完全寛解に達します。しかし、骨髄腫細胞を根絶できないため、再発する危険性があります」

 (取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2012年10月5日号

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