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メンソール煙草とEDの因果関係「仮説に過ぎぬ」と医師断言

男性の愛煙家なら一度は耳にしたことがあるだろう。「メンソールのたばこを吸うとインポ(ED=性機能障害)になる」との“都市伝説”。こんなまことしやかな噂が言い伝えられた背景には、いくつかの俗説が存在する。

●戦時中、アメリカの進駐軍が日本に持ち込んだメンソールたばこには「子供ができなくなる成分が入っている」との噂が広まり、日本人をみなインポにして絶滅させようとした。

●ベトナム戦争で兵士のモラル低下を危惧した米軍上層部が、レイプなどの性犯罪を防ぐ目的で、兵士のたばこに薬品を仕込んで性欲減退させようとした。その際、味の変化に気付かれないよう、ミントで味付けした。

 どちらも「戦争」という混乱に乗じた根も葉もない噂である。もちろん、医学的な論拠があれば信ぴょう性が出てくるが、いまのところメンソールたばことEDを結び付ける研究・データもない。

唯一あるとすれば、メンソールの成分とはまったく無関係な、たばこを吸うこと自体の“害悪説”である。

「ニコチンは血管を収縮させて血流量を制限させてしまう。すると、血液が固まりやすくなり、男性器への血流障害を起こすことで勃起不全になりやすいと考えられています。30~40歳男性で1日に10本以上たばこを吸う人は要注意です」(都内の医師)

 しかし、ニコチン説も必ずインポになるというのではないならば、たばこを吸うことの“害悪説”しかり、ますますデータに乏しいと言わざるを得ない。メンソールたばこの銘柄が一気に増え始めたのは、低タール・低ニコチンの「軽いたばこ」が主流となり始めた2000年以降のこと。

『タバコ有害論に異議あり!』の著者で、獨協医科大学放射線科助教の名取春彦氏も「根拠なし」と喝破する。

「そもそも喫煙人口や歴史から見て、インポのようなはっきりと自覚できる障害は、もっと早期に問題になっていいはずです。たばこによりインポが社会問題化して少子化に影響を及ぼしているのであれば、『喫煙と子づくりの関係』で代替データを示さなければ、あくまで“仮説”に過ぎなくなります」

 さらに、名取氏はこんな示唆に富む見解を述べる。

「近年、『バイアグラ』の登場によって、性機能障害の多くが救われました。救われた人たちは、血管狭窄などの器質変化が多少あるにしても本質的ではなく、蔓延するインポの原因は社会環境の変化などに関連した精神作用であることを物語ります。そう考えると、たばこやメンソールの影響はあったとしても、問題にならない程度だと思いますよ」

健康に留意しながらメンソールの持つ「清涼感」で日々のストレスを発散させたい――。そんな愛煙家のリラックス作用の高まりにより、ED患者増加との因果関係はさらに薄くなったのではないか。

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