国際情報

「日本にはNHKと朝日新聞があるのが羨ましい」と韓国人記者

 緊張続く日韓関係の中で、日本担当の韓国人記者は何を考え、伝えているのか。長く日本報道に携わるベテランの韓国人記者に、現在の日本を取材して感じることを聞いた。(取材・構成=フリーライター神田憲行)

 * * *
 韓国と日本の緊張関係が続いていますが、日本人相手の取材がやりにくくなったという印象はとくにありません。記事を発表する前に原稿を見せて欲しい、という人が増えたぐらいかな。ただ、抗議のメールというのはずっとあります。韓国人と日本人は、抗議のメールが違うんですね。韓国人は最初から喧嘩腰で「お前はなにを書いているんだ」と興奮しているんですが、論点がよくわからない。一方、日本人からのメールは冷静で論点が明示してあって、最後は必ず、

「あなたは日本が嫌いなのでしょう。いちいち構うな」

 と書いてある。しつこくメールが来て、冷静だけど繰り返し繰り返し書いてあると、いつか実力行使でなにかされるんじゃないかと恐怖を感じています。

 韓国人でも日本人でも敏感に反応するのが、やはり尖閣諸島問題です。率直に言って、韓国国内の反応は「ざまあみろ」という気持ちが強い。自分たちが実効支配している国に外国から攻めてこられたら、嫌だろうと。独島の問題と重なるんですよ。

 韓国国内の気持ちを反映しているのが、尖閣諸島の表記です。我々は実効支配ベースで「独島(日本名・竹島)」と書いてきました。その論理で考えるなら「尖閣諸島(中国名・釣魚島)」と表記すべきなんだけれど、そう書くと韓国読者から抗議のメールが来るんです。韓国のテレビ局は「釣魚島(日本名・尖閣諸島)」と表記しています。私は論理的には「尖閣諸島(中国名・釣魚島)」と書くべきだと思うのですが。

 取材対象として興味があるのはネット右翼の「在特会」です。「在日特権を許さない」と言われても、私たちいつも差別されたり下に見られてきたから、「はあ? どこに特権が?」と思う(笑)。今の日本人は「反日」という言葉に敏感すぎる。韓国にしても中国にしても、「反日」は今に始まったことじゃないのに、反日にこれだけ敏感に反応する日本人を見たことがない。

 韓国人からすると、日本人は冷静で頭が良くてなにを考えているのかわからない民族で、いつかまた侵略戦争を仕掛けてくるという、確信に近い恐れがあるんです。韓国人は戦争に対する恐怖感が常にあるんですよ。北朝鮮、中国……韓国に対して領土的野心がないのはアメリカぐらいじゃないか。だからヨン様ブームとか「韓流」で韓国が好きな日本人の話を聞いても、「なにそれ、またバカにするために何か企んでいるんじゃないか」と最初に考えてしまう。そもそもヨン様が韓国でトップクラスの俳優とはいえない人だからね(笑)。

 韓国人からすると日本人からいつも下に見られて、キムチ臭い、ニンニク臭いと言われてきた。新しい白菜が出るとキムチを漬けて親しい人に配るという習慣が韓国にはあるのですが、日本人にあげても「ありがとうございます」といいながらも後で捨てるということが本当に2000年くらいまでありましたからね。「嫌韓」と言われても、「いまさら何を言っているんだ」と思う(笑)。

 最近は取材を続けていると、本当に韓国が好きな人や憧れをもっている日本人がいるということがわかりました。韓国5000年の歴史の中で、百済などの一時期をのぞいて、かつて起きていなかった現象が今起きている(笑)。

 でも、韓国のことが本当に好きな日本人がいることや、社会が以前にも増して反日に敏感になっていることを、韓国の読者やメディアのトップはまだわからない。だから有名な新聞でも極めて反日的で挑発的な記事が出るんです。韓国人のジャーナリストとして、日本にはNHKと朝日新聞があるのが羨ましいなあ。いろんな見方をするメディアがある。韓国には「産経新聞」みたいなのが大手新聞だから(笑)。

トピックス

金メダリスト萩野公介の離婚の真相に関係するであろう一文字
【萩野公介・離婚の真相】スピリチュアルな話が増えてmiwaとの夫婦生活に区切り、LINEプロフィールが“漢字一文字”に変わり周囲びっくり
女性セブン
神戸大学のバドミントン同好会「A(仮名)」 迷惑行為が問題になっている
《障子にパンチ、天井に胴上げアタック》神戸大学のバドミントン同好会が旅館を破壊か 大学側は「事実関係を調査中」
NEWSポストセブン
大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《大谷翔平を魅了》結婚相手・真美子さんの手料理は「お店のようなクオリティ」母・加代子さんの想いを受け継ぐ「温かな食卓の原風景」
NEWSポストセブン
ドジャースの公式Xより
ドジャース山本由伸が韓国遠征で「ジャージー×400万円バーキン」ファッション、なぜ野球選手は“ブランド好き”? かつては「ヴィトン×金ネックレス」が定番
NEWSポストセブン
税務職員たちの“カネにまつわる不祥事”が次々と明らかになった
【情報公開請求】税務署職員の懲戒処分144件を調査 カネに関する不祥事が続々「虚偽の確定申告」「不正受給」「勤務中FX15000回」で処分も
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)と妻の田中真美子さん(レッドウェーブ公式サイトより)
大谷翔平の結婚相手・田中真美子さん、抜群の好感度でメディア出演待望論 モデル、キャスター、インフルエンサーなど幅広い分野での存在感に注目
NEWSポストセブン
活動は今年10月で一区切り“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)
《右耳聴覚も失っていた》“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)が語った「活動は今年10月で一区切り」と「叶えたい夢」
NEWSポストセブン
3月5日に「ガスト」店内と思われる場所で撮影された”調味料一気飲み”の動画が拡散された
《ガストで調味料一気飲み》迷惑動画を撮影・SNS拡散の3人がついに全員謝罪も運営会社は「厳正な対処」を継続方針
NEWSポストセブン
大谷翔平(Getty Images)と妻の田中真美子さん(レッドウェーブ公式サイトより)
【彼女はめっちゃ甘え上手】大谷翔平の結婚相手・田中真美子さん、大学同窓生が明かす素顔「チャラ男は好きじゃない」
NEWSポストセブン
羽生と並んで写真に収まる末延さん(写真はSNSより)
【全文公開】羽生結弦のアイスショーとバイオリニスト元妻のディナーショー、公演日程が丸かぶり 「なぜ同じ日に?」と関係者困惑
女性セブン
元横綱・白鵬の周りでは様々なトラブルが…
元白鵬・宮城野親方に関する「暴行告発状」“白鵬米”販売会で写真撮影をめぐるトラブル「取り巻きが市議にヘッドロック」証言
週刊ポスト
話題になっているジャッキー・チェンの近影(微博より)
《ジャッキー・チェンの現在》今年70歳になる大スターの近影に中華圏で驚きの声あがる「ちょっと急に老けすぎでは」
NEWSポストセブン