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料理の鉄人名勝負 中村vs道場・和の鉄人同士のおせち対決

『アイアンシェフ』(フジテレビ系)として復活した往年の人気番組『料理の鉄人』。いくつもの名勝負が繰り広げられたこの番組だが、その中から“この一番”を選べと言われれば…?

 当時は『なだ万』9店舗の統括料理長で、現在は『レストラン中村孝明』のオーナーシェフにして2代目和の鉄人・中村孝明さん(64才)が選んだのは、鉄人・道場六三郎さんとのおせち対決(1996年12月31日の年末特番)。

 100人前のおせち料理を1時間40分で作るというもの。テーマ素材は豚、さつまいも、たこで、審査員は、羽田孜元首相夫妻に落合博満夫妻、松本幸四郎夫妻などの他、歴代挑戦者の計100人が務めた。結果は、55対45で中村さんが初代・和の鉄人の道場さんを見事、破った。中村さんはこう振り返る。

「あの戦いは、中村対道場じゃなくて、なだ万対道場六三郎みたいな感じの対決でした。それだけに、負けたらなだ万の看板に傷をつけることになりますから、もう始まる何日も前から緊張して眠れなかったですよ。

 100人前だから、1人では絶対できません。なだ万の料理長が全員集まって、いろんなアイデアを出して、会議でメニューを決めました。薬膳を入れた食前酒を作ったりと斬新な料理で、なだ万の集大成といった作品になったと今でも思いますね。

 道場先生は、ぶり大根とか、王道的な料理を作る一方で、パスタとキャビアを使った料理もあって、すげえなあ、と。

 もう時間がなくて、こっちが汗をびっしょりかいて料理をしていると、すでに道場先生は料理を終えて、まな板に『食門』という字を書いている。そして『孝明さん。お手伝いしましょうか~』と余裕しゃくしゃく。

『いや結構です』と断って、時計を見たらもう30秒前。道場先生のところは花もきれいに生けてありましてね、華やかさで負けちゃいかんと思って、余っていた金粉をパーッとかけたんです。それが大正解でした。結構格好よくできたからね(笑い)」

 2代目鉄人の中村さんにとっては、道場さんの後継というプレッシャーも大きかった。当初、負けが込んだ時のこと。

「当時高校生だった息子が、『オヤジ、おれもう学校行きたくない』って。『友達から、何でお前のオヤジはあんなにボロボロ負けるんだって笑われる』と言うわけ。ぼくは『お父さんも一生懸命やっている。お前も大人になったらわかる』って言ってましたよ」(中村さん)

※女性セブン2012年11月22日号

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