国内

米兵の沖縄女性暴行事件 政治的思惑と報道のミスリードあり

 またしても米兵による沖縄女性のレイプ事件が起きた。繰り返される凶行に対する地元の反発は当然だろう。ただしこの問題には、常に政治的思惑と、ステレオタイプの報道しかできないマスコミのミスリードがついて回り、本質的な問題を見えにくくする悪い副作用がある。  

 そのねじれを指摘したい。まず第1に、「米兵はならず者」という非難である。基地反対派やリベラル勢力は、すぐに「1995年の少女強姦事件を忘れたのか」と反論するだろう。確かにそれ以降、今回の事件を含めて複数の強姦事件が起きていることは許し難いし、兵士としてより高いモラルが求められることは間違いない。が、米兵による強姦の「発生率」は、実は高いとは言えない。

 日本国内で警察が扱う強姦事件は年間約2000件。強姦犯のほとんどが含まれる15~65歳男性の人口は約4000万人だから、ざっと毎年2万人に1人が強姦を犯すことになる。それに対して沖縄駐留米軍は軍人・軍属合わせて約2万5000人。大半は青年、壮年の男性だから、強姦発生率が「日本人の平均」と同じなら、毎年1件以上の事件が起きてもおかしくないが、実際の発生頻度は数年に1件である。

 残念なことだが、女性たちにとっては米兵より普通の日本人男性のほうがずっと危険なのである。この点では、米軍を敵視したい勢力やマスコミによるアジテーションに警戒しておくべきだろう。

 第2には、逆に“米軍大好き”な人たちの不見識を挙げなければならない。森本敏・防衛相は親米派として知られる人物であり、そもそも防衛省のエリートたちは、多くが米国依存主義者だ。森本氏は今回の事件を「事故」と表現して批判された。ちょっとした言い間違いと思えなくもないものの、もし心の底で米兵、米軍を庇いたい気持ちが働いていたとしたら、日本人の安全を守る責任者として情けない限りだ。

 1995年の痛ましい少女強姦事件を機に日米地位協定が見直されたことは多くの国民が記憶している通りだが、それでもなお米兵による事件の捜査には大きな障壁が残っており、はっきり言えば対等な同盟国同士の関係になっていないのである。

「日本を守ってくれているのだから」という言い訳は通用しない。それなら、日本のためになっている外国企業の幹部や、日本人が大好きな韓流タレントが同じことをしても、「日本のためになる人だから」と許すのか。米軍だから、米兵だからというだけで事件から目を逸らしたり、甘く対応したりすることは絶対あってはならないのである。政府はいの一番に米軍に対して断固たる抗議と改善要求を行なうべきだった。

※SAPIO2012年12月号

トピックス

真美子さんと大谷が“即帰宅”した理由とは
《ベイビーを連れて観戦》「同僚も驚く即帰宅」真美子さんが奥様会の“お祝い写真”に映らなかった理由…大谷翔平が見計らう“愛娘お披露目のタイミング”
NEWSポストセブン
「●」について語った渡邊渚アナ
渡邊渚さんが綴る“今の政治への思い”「もし支持する政党がパートナーと全く違ったら……」
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《山瀬まみが7ヶ月間のリハビリ生活》休養前に目撃した“スタッフに荷物を手伝われるホッソリ姿”…がん手術後に脳梗塞発症でICUに
NEWSポストセブン
自民党屈指の資金力を誇る小泉進次郎氏(時事通信フォト)
《小泉進次郎氏の自民党屈指の資金力》政治献金は少なくても“パーティー”で資金集め パーティーによる総収入は3年間で2億円、利益率は約79%
週刊ポスト
米倉涼子
《新情報》イベントのドタキャン続く米倉涼子を支えた恋人の外国人ダンサー、日本を出国して“諸事情により帰国が延期”…国内でのレッスンも急きょキャンセル 知人は「少しでもそばにいてあげて」
NEWSポストセブン
「開かれた市政運営」を掲げる瀬野憲一・守口市長(写真/共同通信社)
パワハラ人事疑惑の瀬野憲一・守口市長、維新代議士へ“お土産”補助金疑惑 互礼会の翌日に「補助金をつけろ」と指示か 本人は「発言の事実はない」と主張
週刊ポスト
小川晶市長“ホテル通い詰め”騒動はどう決着をつけるのか(左/時事通信フォト)
《前橋・小川市長 は“生粋のお祭り女”》激しい暴れ獅子にアツくなり、だんベぇ踊りで鳴子を打ち…ラブホ通い騒動で市の一大行事「前橋まつり」を無念の欠席か《市民に広がる動揺》
NEWSポストセブン
歴史ある慶應ボート部が無期限で活動休止になったことがわかった(右・Instagramより)
《慶應体育会ボート部が無期限活動休止に》部員に浮上した性行為盗撮疑惑、ヘッドフォン盗難、居酒屋で泥酔大暴れも… ボート部関係者は「風紀は乱れに乱れていた」と証言
NEWSポストセブン
元大関・貴景勝
断髪式で注目の元大関・貴景勝 「湊川部屋」新設に向けて“3つの属性の弟子”が混在する複雑事情 稽古場付きの自宅の隣になぜか伊勢ヶ濱部屋の住居が引っ越してくる奇妙な状況も
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン
永野芽郁に業界からラブコール
《金髪写真集をフィリピンで撮影済み》永野芽郁、すでに民放キー局から「連ドラ出演打診」も…今も業界から評価される「プロ意識」
NEWSポストセブン
“ラブホテル通い”を認めた小川晶・前橋市長
《前橋市長が利用した露天風呂付きラブホ》ベッド脇にローテーブルとソファ、座ると腰と腰が密着…「どこにどのように着席して相談したのか」疑問視される“部屋の構造”
週刊ポスト