ライフ

デッドスペースの有効活用 一般家庭の屋根で賃貸収入?

 2012年12月12日、ソフトバンクグループのソフトバンクモバイルとSBエナジーは共同で、太陽光発電パネルに関する新事業「おうち発電プロジェクト」を発表した。概要は、住宅の屋根をソフトバンクモバイルが一般家庭から借り受け、「発電スポット」として太陽光発電システムを設置。その後はSBエナジーがまとめて管理し、発電した電力を全て電力会社に売電することで、太陽光発電の普及・拡大を図るというものだ。

 住宅所有者は、自己負担額0円で自宅の屋根に太陽光発電システムが設置され、売電額の15%を「発電スポット利用料」として受け取ることができる。1棟当たりの売電金額は月に1万4000円前後、住宅所有者が受け取る発電スポット利用料は2000円前後となる見込みだ。なお設置した太陽光発電システムは、20年の契約期間満了後に無償譲渡される。

 今回の募集期間は2012年12月21日~2013年3月31日までで、募集棟数は1000棟。対象地域は青森・秋田・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・岐阜・静岡・愛知・三重・大阪・兵庫・奈良・和歌山・岡山・広島・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・佐賀・長崎・熊本・宮崎の31都道府県(島しょ部・離島を除く)。エントリー窓口はソフトバンクショップ(一部店舗に限る)、発電スポットサポートセンター、ソフトバンクモバイルホームページからの3つだ。

 またソフトバンクグループならではのサービスとして、「おうち発電プロジェクト」に合わせて「モバイルセット割」も新たに提供。住宅所有者は3年間に渡って、ソフトバンク携帯電話の「ホワイトプラン」基本使用料、「ホワイトBB」の月額使用料、「Yahoo! BB」の月額利用料金の割引が受けられる。

 これまで一般家庭での太陽光発電というと自宅の電気を賄った上で、余った分を電力会社に売るという仕組みの「太陽光発電の余剰電力買取制度」が主軸。その上で経済産業省が太陽光発電のさらなる利用促進を目的として、新たに2012年7月「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を実施し、事業者に10kW未満の太陽光発電を除き、原則として発電量の全量買取を認める特例を設けた。

 そうした措置により「屋根貸し発電」が成立する背景ができ、太陽光発電の事業化における“まとまったパネル設置場所が少ない”という都市部の課題解決にもつながるビジネスモデルが、今回の「おうち発電プロジェクト」だ。

 自宅で太陽光発電を検討していなかった人や、導入したくてもシステム費用や管理面などで二の足を踏んでいた人も少なくない中で、屋根を貸すだけで自然エネルギー発電に貢献でき、ある意味多くの家庭でデッドスペースのひとつだった屋根の上が、若干でもお金を生むとなれば、太陽光発電に興味を持つ人も増え、その普及にも期待がかかる。

 発電した電力は基本的に全量を売電するため、自宅の電力は賄えないが、停電時は住宅所有者が非常用電源として利用することも可能(発電時のみ。電力会社に利用停止を求められた場合を除く)。使用に一定の制限があるとはいえ、無料で非常用電源が確保できると考えると、賃貸収入の金額以上に設置の価値は高いといえるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン