国内

与党の補完勢力に味しめた維新 参院選で与党に挑む気概薄い

 民主党の大惨敗が予想される7月の参議院選挙だが、存在感の薄い民主党に代わって野党第一党を目指す日本維新の会は、参院選の候補者公募に239人もの応募があったと発表した(3月4日)。

 景気のいい話に聞こえるが、内実は違う。衆院選の落選組で参院選出馬を目指す候補者はいう。

「維新本部から全く情報が来ないので、ホームページで参院選の情報を知り、慌てて応募用紙をプリントアウトして申し込んだ。いくら落選組だからって冷たすぎやしないか」

 東京の国会議員団も、大阪本部との情報共有に頭を悩ませている。東京には今年初めまで、維新と旧たちあがれ日本(太陽の党)の2つの事務所があったが、橋下徹・大阪市長の共同代表就任をきっかけに維新の東京事務所として統合される予定になっていた。だが、いまに至っても「東京事務所」は設立されていない。

「橋下さんが『党の本部機能を大阪に一本化させ、東京事務所はいったんなくす』と提案し、東京は『国会議員団本部』という事務的な組織に改組されてしまった。それ以来、大阪の維新本部からの情報が全く届かなくなり、大阪の本音がわからなくなったんです」(維新国会議員の秘書)

 それが先の日銀総裁人事でのドタバタ劇を招いた。黒田東彦氏の同意に橋下氏が反対すると、国会議員団が「国会のことに口を出すな」と反発。それに橋下氏が激怒し、「そこまでいわれて代表の座にしがみつくような人生哲学を僕は持ってない」と2月28日の記者会見でぶちまけたのだ。

 最終的には橋下氏も黒田人事に同意し、党として賛成に回ったが、意思疎通ができていない現状が露呈した格好となった。
 
 橋下氏は東京の議員団を「与党ボケ」と批判したが、すでに東京では与党の補完勢力となることに味をしめ、参院選についても与党と本気でぶつかるムードがない。

「ある会合で、旧維新系の国会議員が選対委員長に就任した旧たちあがれ系の藤井孝男・衆院議員に、『旧維新の側も選挙に関わりを持つべきではないか』と質問したところ、藤井氏は『おっしゃる通り、私は選対委員長だが、選対本部長は(旧維新系の)松井一郎・幹事長だ』と答えたんです。

 選対委員長は候補者選対の責任者で、選対本部長は選挙を取り仕切る責任者。つまり、“候補者は自分が選ぶが、選挙の勝ち負けの責任は選対本部長の松井氏だ”といいたかったのだろう。東京も大阪も『都合が悪いことは向こうの責任』にしようとしている」(前出の議員秘書)

※週刊ポスト2013年3月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン