国内

建設中の大間原発近くに断層想定 国と電源開発は存在認めず

 地震大国ニッポンの最深部には、名古屋や大阪の中心部など、これまで知られていなかった「未知の活断層」の存在が明らかになっている。 活断層への警戒が必要なのは、陸地ばかりではない。

「海底にある活断層も音波などを使って調査が進んでいるが、なかなか発見が難しい。しかし、地上の倍くらいの活断層があると推定されている」

 とは京都大学の岡田篤正名誉教授(変動地形学)である。また東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)は、原子力発電所のすぐ近くを走る海底活断層が存在する可能性も明らかにしている。

 例えば「積丹半島西方沖断層」は、泊原発の西方沖10~15キロに想定される海底活断層だが、北海道電力と国は存在を認めていない。そのためこの活断層名も仮称のままだ。

 建設中の大間原発(青森県)近くの沿岸海底には「大間崎北方沖断層」が想定されるが、これも事業者の電源開発と国は存在を認めていない。渡辺教授が厳しく指摘する。

「政府や電力会社が活断層に対して“原発建設ありき”の杜撰な評価を繰り返してきた感は否めない。原発周辺の活断層評価をやり直すべきです」

 陸地にも、海底にも、至るところに存在するであろう“未知の活断層”。見てきたように、M6クラスの地震はいつ、どこで起こってもおかしくないのが現実だ。 我々はどう対処すればいいのか。渡辺教授はいう。

「今回の淡路島の地震でも、死者はゼロでけが人が32人と、規模の割に大きな被害は出なかった。

 一方、2011年にアメリカのバージニア州で起きたM5.8の地震では、ワシントンDC周辺がパニック状態に陥った。これは住民の意識の差です。いつ活断層による地震が起きてもしっかりと対応できるような、防災意識を培っておくことが最も有効な対策といえるでしょう」

※週刊ポスト2013年5月3・10日号

関連キーワード

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン