国際情報

中国軍に宮古島を占領されたら奪還作戦は容易でないとの予測

 日本は大小の島々で構成された島嶼国家である。宮古島のような防御が手薄な離島が中国軍に狙われたらどうなるのか。中国軍の「宮古島占領作戦」を戦争・平和社会学者の北村淳博士がシミュレーションする。

 * * *
 中国が尖閣諸島を強奪するために武力行使を決断したとしても、直接、尖閣諸島に上陸するような幼稚な作戦はとらないはずだ。一時的に占領するのは簡単だが、空港も港湾施設も生活インフラもまったくないため、占領し続けるのは容易ではないからだ。無人島なので“盾”になる島民もいない。自衛隊のミサイル攻撃を受けて、上陸部隊はすぐに壊滅してしまうだろう。

 私は次のようなシナリオを想定している。まず中国は長射程ミサイルによる対日攻撃の可能性を通告する。脅された自衛隊は全戦力を周辺海域、空域に配置し、厳戒態勢を維持せざるを得なくなる。ミサイル攻撃による脅迫だけではアメリカ政府による軍事介入は行なわれない。その間隙を縫うように、中国海軍と空軍に守られた海軍陸戦隊(中国版海兵隊)が宮古島を占領するのだ。

 本土周辺海域、空域の警戒活動に張り付いている自衛隊には、とても先島諸島の防衛に戦力を割り振る余裕はなく、戦闘もなく宮古島は無血占領されてしまうだろう。たとえ200名規模の守備隊が配置されていたとしても武力抵抗は不可能である。

 宮古島には約5万5000人の島民がいる。いったん占領を許せば奪還作戦は容易ではない。有人島ということでは近くの石垣島も候補地だが、宮古島のほうが戦略的にはるかに都合がいい。宮古空港は2000mの滑走路を備えており、隣接する下地島の空港には3000mの滑走路もあるからだ。1万2000t級の大型船舶が停泊できる港湾施設も整備されている。

 上陸する中国海軍陸戦隊は1000名規模になるだろう。各種水陸両用戦闘車両、戦車、自走対空砲、地対空ミサイルシステム、地対艦ミサイルシステムなどの装備を携え、駆逐艦やフリゲートなどに護衛された揚陸艦で送り込まれる。そして空港施設を占領し次第、大型輸送機で食糧などのピストン輸送を開始する。さらに輸送艦、補給艦などで補給物質、各種大型兵器を次々に運び込む。またたく間に中国軍による宮古島の占領体制が確立することになる。

※SAPIO2013年7月号

関連キーワード

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン