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夏に浴衣を着る時の装飾は「盛ればいい」というものじゃない

 厳しい暑さの中でも、見かけると涼を感じるのが浴衣。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏がアドバイスする。

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 夏も後半に入りましたが、花火にお祭りと、浴衣の出番はまだまだ続きます。15~39歳の未婚男性600人に聞いたところ、「浴衣姿の女性とデートしたいと思う」と答えた人は81.3%。「女性の浴衣姿はきれいだと思う」という回答はなんと93.0%もありました(出典「女性の浴衣に関する意識調査」ネオマーケティング2013.4)。

 恐るべし浴衣力。でも、今年はもう一歩、極めてみたい。せっかく浴衣を着るのなら、根っこにある日本文化の「涼のとり方」をおさえてみたい。いわば「思想」の部分。ここをふまえれば、女子も男子もぐんと格好いい浴衣姿になれるはず。

 では、和の涼感スタイルの大切なポイントとは?

「他人の目にも涼しい」ことです。

「自分が涼しくなる」というのは従来の洋服ファッションの発想。でも、和服はもう一段、深いのです。

 自分だけではなく、見ている他人のことまで考えて、「人の目から見た涼感」を上手に表現できているでしょうか。最近は浴衣にキラキラ素材を多用したり、帯の上にさらにプチ兵児帯をまくという二重スタイルが流行のようですが、つい装飾過剰になりがち。アピールしたければむしろ、ぐっとおさえめにしてみるのがポイント。ただ「盛ればいい」というものではありません。「引き算」が効くのです。

 清涼感のある紺やブルーを白とすっきり組み合わせた古典柄は、水の風景を連想させます。ゴテゴテとたくさんの原色を派手に組み合わせたい人は、アロハでやりましょう。ちなみに、冒頭のアンケート調査でも、涼しげな色合いやシックな「古典柄の浴衣」が好き”と答えた男子が88.7%とか。レースなどで盛られた「派手柄の浴衣」が好きという回答の方は11.3%。

 素材にもヒントがあります。透け感がある生地、肌にべたっとつかない工夫のある生地は見た人にも涼しげな印象を与えます。たとえば、薄地に太い糸と細い糸を格子状に織り込んだ「綿紅梅」という生地は凸凹があるために素肌に貼りつかずサラりとした感触。麻素材も、その質感が他人の涼感を呼びおこします。

 小物やアクセサリーも「盛りすぎ」に気をつけて。想像以上に目立つ髪の毛はすっきりとアップし、暑苦しさを感じさせない工夫を。

 すれ違った人が、ふと振り返りたくなる。涼しい風がさっとふいたように感じる。「今日はこの道通ってよかった」と思ってもらえる。そんな風に浴衣を着こなすことができたら最高ですね。

 ちなみに、そもそも浴衣は「湯帷子(ゆかたびら)」、湯浴みの時に着た入浴着だったということをご存じですか。もちろん、夏の花火や露店めぐりにはぴったりなのですが、どこへでも出かけてよいスタイルとは違います。そんなTPOをわきまえていることも格好よさに通じるのです。

 浴衣姿と普段の洋服感覚との違いを、上手にスイッチしたい。そうすれば今年の残暑を一段と楽しむことができそうですね。

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