ビジネス

アメリカナマズ 回転寿司店で高級魚・平目やアイナメに変身

 低価格路線で成長を続けてきた回転寿司。原材料費高騰をものともせず、高級ネタを惜しげもなく提供できるのは、果たして企業努力の賜物だけだろうか。ジャーナリスト・吾妻博勝氏がそのカラクリを明かす。

 * * *
 見た目や味が似た安価な魚介類を「代用魚」として高級寿司ネタに偽装する行為は今でも多くの店で横行している。飲食店で直接提供される食品には食品衛生法やJAS法による原材料表示義務がない。水産庁では魚の名称のガイドラインを設けているが、こちらも法的強制力はない。だから店側は、あえて代用魚の正体を明かさない。

 私は趣味で釣りをする。特にヒラメ釣りが大好きで、寿司屋の人気ネタである「エンガワ」がいかに貴重であるかを知っている。1匹から4貫分しか取れない希少部位で量も少ない。運良く口にできるのは高級寿司店の常連客ぐらいだ。ところが、街の格安回転寿司では「エンガワ」を1皿100~200円で提供し、客の大半はそれを「ヒラメのエンガワ」と思い込み注文している。

 だが、これらは体長3mに達する深海魚の「オヒョウ」や「アブラガレイ」、「カラスガレイ」のエンガワで、1貫分の原価は30円にも満たない。数年前までは、それを「ヒラメのエンガワ」と偽る悪質な店も少なくなかった。明らかな詐欺商法だ。

 これが問題になると、店側は「ヒラメ」の文字をそっと外し、単に「エンガワ」と表示するようになった。もちろん、今も「オヒョウのエンガワ」などと表示している良心的な店は少数派である。回転寿司のネタをすべて正確に表示すれば、メニューは聞き慣れない魚の名で埋め尽くされる。その正体が見たこともない奇怪な形の巨大魚や深海魚だと知ったら、客はさぞ驚くだろう。

 たとえば、「スズキ」の代用魚に「ナイルパーチ」がある。大きなものでは体長2m近くになるアフリカ大陸産の淡水魚だ。「マダイ」に化けるのは、長いひげをたくわえたグロテスクな「アメリカナマズ」だ。

 その姿を見れば食欲を削がれるのは間違いないが、この魚は「ヒラメ」や「アイナメ」などの高級魚にも変幻自在に姿を変える。よほどの通でなければ味で見破ることは難しいというから、まあ旨いことは旨いのだが、それが偽装の免罪符になるわけではない。

※SAPIO2013年9月号

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
マネーポストWEB
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン