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「今年キラリと光った社長」経済誌編集長が評価した4人とは

 企業の社長たちにとって、今年はホッと胸をなで下ろす1年になったに違いない。円安効果に助けられ、アベノミクスによる景気回復基調が企業の好業績に跳ね返っているからだ。

 そんな中、産業能率大学による年末恒例の『社長が選ぶ今年の社長2013』が発表された。1位は同調査でも常連の孫正義氏(ソフトバンク社長)。10月末に発表されたソフトバンクの第2四半期決算では、売上高、営業利益ともライバルのNTTドコモを抜き去った。

 調査では7月に子会社化した米スプリントの経営権獲得を挙げ、「時代を先取りしている」(56歳/製造業)、「日本国内だけでなく、戦略的に世界へと挑戦している」(54歳/情報通信業)など、ソフトバンクの世界戦略にも高い評価が集中した(以下はトップ5)。

■1位(2位)孫正義氏/ソフトバンク社長
■2位(4位)豊田章男氏/トヨタ自動車社長
■3位(11位)三木谷浩史氏/楽天会長兼社長
■4位(1位)稲盛和夫氏/楽天会長兼社長
■5位(圏外)加藤薫氏/NTTドコモ社長 ※カッコ内は昨年順位

 ソフトバンクの勢いに押されたNTTドコモも、今年はついに『iPhone』の販売に踏み切るなど話題に事欠かず、加藤社長が5位にランクイン。また、利用者数3億人を突破したLINEの森川亮社長が7位、家庭やオフィスで人気の最新式コーヒーマシンを次々と開発するネスレ日本の高岡浩三社長兼CEOが10位に食い込むなど、旺盛な消費意欲を掻き立てる商品やサービスを生み出す企業の社長が上位に顔を揃えた格好だ。

 さらに、来年注目すべき会社のランキングでは、1位がトヨタ自動車、9位に日産自動車、10位にホンダと自動車メーカーが3社入った。これは、今年特に好業績を叩き出した自動車業界に、本格的な景気回復の牽引役を担ってもらいたいという願いが込められているからだろう。

 昨年に引き続き、当サイトでは産能大学の調査には入らなかったが、今年キラリと光る功績を残した社長を4人挙げてみた。推薦してくれたのは、経済誌『月刊BOSS』編集長の関慎夫氏。

■吉永泰之氏(富士重工業社長)
2013年4~9月期の決算では、売上高、利益のすべてで過去最高。北米市場で主力車が売れまくり、世界販売台数でも過去最高を記録。「これまでと変わったことはしていないが、愚直にスバルの車づくりをしてきた結果、時代とマッチした」(関氏)

■藤森義明氏(LIXILグループ社長)
住宅設備国内最大手の同社は、2016年までに現在のおよそ5倍となる海外売上高1兆円の中期目標を掲げ、海外企業のM&Aを積極的に行っている。「2011年に日本GE取締役会長からLIXIL社長に転じた藤森氏は、日本人には珍しくスケールの大きな経営者」(関氏)

■鈴木敏文氏(セブン&アイ・ホールディングス会長)
創業から40年を迎えたセブン―イレブンは、なお成長を続け2位以下を大きく引き離している。「本来なら衰退してもおかしくないコンビニ事業で、PB(自主企画)商品を充実させたり、コンビニコーヒーを一気呵成に全店に導入したりするなど、ヒットを見極める先見性は他企業には真似できない」(関氏)

■小泉光臣氏(JT社長)
9月の中間決算で2371億円と上期の最高益を更新した同社。それだけ業績は安定しているにもかかわらず、大規模なリストラを発表して話題に。「現状に満足せず、少子高齢化やタバコ事業の逆風など、状況を言い訳にしない経営姿勢が評価できる」(関氏)

 関氏が挙げた注目社長4人に共通しているのは、「選択と集中」だ。

「選択と集中の時代はこれからもずっと続いていくと思いますが、いまの日本企業に必要なのは自分たちの強みが何かを最大限に把握したうえで、そこに経営資源を集中的につぎ込む決断力。業績がよくなればなるほど、攻めの見極めとタイミングが大事になってきます」

 さて、来年は好業績を味方に、攻める経営者がどれだけ出現するのだろうか。

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