しかし、今やスポーツでは「映像判定」が主流になってきているのが実情だ。
MLBがお手本にしたのが、アメリカンフットボール(NFL)の「チャレンジ制」である。NFLでは1986年にいち早く導入、試合遅延で一旦廃止されたが1999年に再導入された。バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)など米国4大スポーツでは、すべてビデオ判定が取り入れられている。
これは審判が人間である以上、完全なものではないという考え方に基づくものだが、顧みれば、日本でも「審判は完璧ではない」ことを認め、既にチャレンジ制に近い制度を導入している競技がある。国技・相撲の「物言い」だ。
行事の判定に誤りや疑念があると、土俵まわりの勝負審判が「物言い」をつけて、再度勝負の判定が行なわれる。その際には、NHKの中継映像を使って判定する「ビデオ判定」が行なわれることもある。
要するに野球での「物言い」だと考えれば、日本のプロ野球での「チャレンジ制」導入も、意外とスムーズに行くのかもしれない。
※週刊ポスト2014年4月25日号