パ・リーグ一覧

【パ・リーグ】に関するニュースを集めたページです。

赤いユニフォームと「C」のマークがよく似合う?(シンシナティ・レッズ時代の秋山翔吾。Getty Images)
秋山翔吾、広島へ 「メジャーを経て“別リーグ”に移籍」で結果を残せるか
 新天地でチームを導く救世主となれるか──。広島は6月27日、メジャーリーグのサンディエゴ・パドレス傘下3Aエルパソを自由契約になっていた秋山翔吾外野手の獲得を発表した。2010年のドラフト3位で西武に入団した秋山は2015年に日本球界最多の1シーズン216安打を放ち、739試合連続フルイニング出場のパ・リーグ記録を持つライオンズの顔だった。 2019年オフに海外FA権を行使してシンシナティ・レッズと契約。しかし、レギュラーは奪えず、今年は開幕ロースターから外れ、5月にパドレスとマイナー契約を結んでいた。3Aでは好調を維持していたが、メジャー昇格は叶わなかった。メジャーからのオファーもないことで、日本復帰を決断。西武、ソフトバンク、広島が獲得に名乗りを挙げていた。「契約年数や年俸などの条件も関係しているでしょうけど、それ以上に心理的な面も大きかったと思います。古巣の西武への愛着はあるものの、メジャーで結果を残せなかったのに出戻りすると、自分の野球人生が停滞したように感じたのではないでしょうか。かといって、西武のライバル球団であるソフトバンクに行くのは心情的に憚られる。未知の土地、リーグである広島を選んだのでしょう」(プロ野球担当記者。以下同) メジャーで5年連続2桁勝利、通算79勝を挙げた黒田博樹は40歳で古巣の広島に帰還し、翌年にチームを25年ぶりの優勝に導いた。メジャー6年間で通算打率2割8分5厘と安定した成績を残してワールドシリーズも経験した青木宣親は36歳で古巣のヤクルトに戻り、3年後の2021年にチームの日本一に貢献している。このようにメジャーで結果を残した上で、以前の所属球団に帰って優勝する。これがファンにとっては、理想型だろう。しかし、黒田や青木のような選手は必ずしも多くない。 2019年に最多勝、最多奪三振のタイトルを獲得し、チームの優勝に貢献して渡米した巨人の山口俊はポスティングでメジャー移籍したものの、防御率8点台と打ち込まれ、2年も経たない昨年のシーズン途中に古巣へ出戻りした。しかし、先発で結果を残せず、2勝8敗に終わった。今年は一軍で1試合しか登板しておらず、現在はケガもあって戦線離脱している。「正直、山口の場合、せっかくメジャーに行ったのに、通用しないからといってすぐに帰国したと思われがちです。見切りが早いのは良いことでもありますけど、憧れの地に辿り着いたのですから、せめて秋山や筒香嘉智のように3Aでもっともがいていれば、今の状態はなかったかもしれません。もうすぐ35歳のベテランですから、今の状態が続けばオフは大幅な減俸か、自由契約やトレードもあり得ると思います」パからメジャーを経てセに移籍した岩隈、西岡 秋山は2年半アメリカでもがき、未知の広島でセ・リーグの野球に初挑戦となる。メジャー帰りの選手が古巣以外のチームを選択することは珍しくないが、経験のないリーグへの移籍は最近では稀になっている。「近年のメジャーから日本に戻ってくる選手を見ると、古巣への出戻りではなくても以前在籍していたリーグを選択するケースが目立ちます。パ・リーグとセ・リーグでは野球の傾向が違いますから、元と同じリーグの方がやりやすい面もあるのでしょう。最近では2019年に元楽天の岩隈久志がパ・リーグではなくセ・リーグの巨人に入団していますが、ケガが完治せず、一軍登板ないまま引退しています。 打者なら、元ロッテの西岡剛がパ・リーグではなくセ・リーグの阪神を選択しています。ただ、1年目の2013年は規定打席に到達して打率2割9分を打ちましたが、2年目以降はケガもあって目立った活躍はできなかった。そういう意味で、違うリーグを選択した秋山の決断は珍しい。どちらかといえば真っ向勝負の傾向のあるパ・リーグと違い、初球からフォークを投げてくるようなセ・リーグの野球に対応し、本来の力を発揮できるか、注目です」 古くは元ロッテの伊良部秀輝が阪神、元阪神の新庄剛志が日本ハムと“別のリーグ”に移籍し、それぞれ優勝の立役者となっている。秋山は、今年メジャー移籍をした鈴木誠也の穴を埋められずにいる広島の救世主となるか。
2022.06.27 16:00
NEWSポストセブン
高校時代は「エースで4番」だった(時事通信フォト)
佐々木朗希、交流戦で本塁打あるか?「高校通算12本塁打」の“打撃センス”
 5月24日、プロ野球「日本生命セ・パ交流戦」が今年も開幕した。ペナントレースの行方を大きく左右するが、注目はやはり千葉ロッテの佐々木朗希(20)だろう。「完全試合達成」のインパクトだけでなく、勝利数や奪三振数などパ・リーグの各部門で軒並みトップに立っており、名実ともに球界ナンバーワン投手になりつつある。 中6日のローテを基本とする佐々木は最大3試合に登板する可能性があるが、交流戦の見どころは「ビジター」での登板だ。「もちろんセ・リーグの打者との対戦も楽しみですが、ビジターの場合はDH制がないので投手も打席に立ちます。佐々木は野球センス抜群で、高校時代には逆方向にサヨナラホームランを打ったことが話題になりました。高校通算12本塁打と長打力もあり、彼がプロ相手にどんなバッティングをするのか楽しみです」(スポーツ紙記者) 昨年の交流戦では甲子園での阪神戦に先発。この時は5回4失点ながら勝ち星をあげたが、打席では相手投手のアルカンタラの前に2三振と「初安打」はお預けとなった。 プロの世界で投手にとってバッティングはどのような意味を持つのか。「バッティング? 僕は大好きでしたよ。ピッチャーでも打つのが好きな人は多いですよ」 そう語るのは、「カミソリシュート」で鳴らした平松政次氏(74)。プロ通算25本塁打を放ち、二塁打も22本と「打てる投手」の代表格だ。「僕もそうでしたが、我々の時代は『投げられるし、打てる』という人がピッチャーを任された。だからプロに入るような選手は基本的にエースで4番という人ばかり。もちろんプロでは投げるのが本職だから『自分が打って勝とう』とまでは思わなかったけど、打つ自信はあったしヒットが出るとピッチングのリズムが良くなるんですよ。 佐々木は野球センスもいいし、打つのも好きだと思うよ。ただ、パ・リーグの場合は打席に立たないからいきなり交流戦で打つのは至難の業だと思う。佐々木にはホームランより完全試合を期待したほうがいいかもしれないね」(平松氏) かの野村克也監督も、「エースになる人は共通してバッティングが良い」という持論を持っていたと言われる。「令和の怪物」は打撃も怪物なのか―打席でも目が離せない。※週刊ポスト2022年6月10・17日号
2022.05.31 07:00
週刊ポスト
完全試合を達成した佐々木朗希(写真/共同通信社)
投手は休養十分?“投高打低”の2022年プロ野球、コロナ禍ならではの事情も
 2022年のプロ野球はようやく3分の1ほどを消化したばかりだが、今季は異様なまでの「打高投低」のシーズンとなっている。5月15日時点でパ・リーグの平均防御率は2.90、セ・リーグは3.35と、近年で断トツに良い数字になっており、ロッテの佐々木朗希は完全試合を、ソフトバンクの東浜巨はノーヒットノーランを達成。投手陣の頑張りが目立つ状況だ。 昨季と比べても格段に防御率がよくなったことについて、“今季の事情”を指摘する声もある。「今季はコロナの関係で野手の打ち込みや走り込みが足りなかったのよ。オープン戦や練習試合が中止になったり、主力がコロナに感染して試合を休んだりせざるを得なかった。外国人選手が出遅れているチームも多い」 そう話すのは、広島の正捕手として活躍した達川光男氏だ。「ソフトバンクの柳田悠岐が肩を傷めて欠場したし、ロッテのレアードやマーティンら強打者も調整が出遅れた。パはとくに、どこのチームもケガやコロナで打線が揃えられていないよね」 プロ野球のデータ分析に詳しいスポーツジャーナリスト・広尾晃氏も「オリックスでは吉田正尚、杉本裕太郎ら主力がコロナ感染したし、これまでスタメンに名を連ねていた打者を欠いているチームが多い」と分析する。「日本ハムの新庄剛志監督が打線を固定しないことも大きいが、例年、打撃30傑の顔ぶれは5人前後が入れ替わっていくサイクルなのに、今年のパは11人も違うメンバーに入れ替わっている。実力ある新鋭が出てきたというより、各チームの主力が欠けているための現象です」(広尾氏) 打者に“手負い”が多いのに対して、投手は“休養十分”のようだ。達川氏が言う。「ロッテ・佐々木の使い方からも分かるように、登板間隔を大きく開けるようになってきた。ピッチャーは“休み肩”がいいんですよ。もちろん、基本は中6日で投げてもらわないと困るんだけど、どこの球団も“1回飛ばし”を混ぜている。 広島は雨天中止の時にエース・大瀬良(大地)を翌日にスライド登板させず、ローテーションを1回飛ばした。オリックスの山本や宮城も中10日で投げたりした。だから、ピッチャーは全般的に元気がいいよね。一方で、バッターは休めば調子がよくなるものではない。その差が出ているんじゃないかね」 ただ、「このまま投高打低で点が入らない野球が続いたら、お客さんは面白くないと思うよ」と達川氏は続ける。「昔から『一番面白いゲームのスコアは8対7』と言われるように、やっぱり点の取り合いが面白いんですよ。それが昔のパ・リーグの野球だったが、今はロースコアの僅差ばかりだね。 とはいえ、これから夏場になってくると、どんなに登板間隔を開けてもピッチャーがへばってくると思いますよ。交流戦が明けた頃には、どこもピッチャーに余裕がなくなるから中6日を続けざるを得なくなるでしょう。その頃には、投高打低は逆転していると思いますよ」 ここまでは異例のシーズンだが、143試合を終えた時、どんな結果となっているのだろうか。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.25 07:00
週刊ポスト
今季ノーヒットノーランを達成したソフトバンク・東浜 巨(写真/共同通信社)
投高打低のプロ野球 背景に投手の「速くなるストレート」と「縦の変化の多用」
 今季のプロ野球は約40試合が消化されたところだが、異様なまでの「投高打低」となっている。4月10日にロッテの佐々木朗希が完全試合を達成し、翌週にも8回で降板するまで完全投球を継続。5月6日には中日の大野雄大が9回終了時までパーフェクトピッチングを達成。11日にはソフトバンクの東浜巨がノーヒットノーランを達成。完全試合やノーヒットノーランが相次いだことで、“これって凄いことなんだっけ?”と感じてしまうほどだ。 これはデータを見ても明らかで、5月15日時点では、セ・リーグの平均打率が.244、パ・リーグにいたっては.231と、近年の水準に比べて1~2分も低く、本塁打数も激減している。 ピッチャー有利の時代が到来したという見方について、投手育成のプロはどうみるのか。現役引退後にオリックス、阪神、日本ハム、楽天、ソフトバンクでコーチを務め、井川慶やダルビッシュ有、田中将大などをエースに育てた実績がある佐藤義則氏はこう言う。「個人で防御率2点台なら分かりますが、パではチーム防御率が軒並み2点台というのは凄いなと思って見ています。最近は投手のストレートが速くなったので、それが原因かなと思っています。 我々が現役の時代は150キロなんてめったに出なかったけど、今は150キロ台を投げる中継ぎも増えました。基本的には、スカウトが粗削りでも速い球を投げる選手を集めているからだと思いますが、全般的に腕がよく振れている投手が多い。コントロールでは昔のピッチャーのほうが上だったと思いますが、スピードボールでファウルを打たせ、最後は落ちるボールで勝負するという配球に、打者の対応が追いついていない印象です」 直球の球速が上がったことに加え、変化球についても昔とは違う傾向が見られるとの指摘もある。西武、ソフトバンク、楽天で投手コーチを歴任した杉本正氏が話す。「投高打低は、ピッチャーの“変化球の使い方”が変わったことと関係があるのではないか。僕たちの時代は横に変化するスライダーやカーブが主体だった。それに対して今のピッチャーは“奥行きがある縦の変化”を多用します。フォーク、チェンジアップ、シンカーといったホームベース上で変化するボールが多い。それに伴う違いは色々とあって、ひとつは球数が少なくなるということでしょう」 かつてはストライクを取ったらボールを投げ、“平行カウント”を意識するのが常識だったが、そうしたスタイルは減り、「今のピッチャーはどんどん勝負していく」と杉本氏は続ける。「2ストライクに追い込んでから3球目の勝負ということも少なくない。横の変化球を使ってストライクからボール、ボールからストライクになる球で勝負するのではなく、ホームベース上での変化の勝負になることの違いなんでしょうね。 そうした違いに加えて、直球が速くなっているという要素がある。佐々木のように腕をしっかり振れるピッチャーが、160キロ台のストレートと同じ振りでフォークを投げるとなると、打者は速いストレートでタイミングを取ろうとするために、フォークがくると空振りしてしまう。佐々木に限らず、今のパ・リーグの主戦級のピッチャーにはこのタイプが多い」 追い込まれたらフォークがくるとなれば、早いカウントから打つバッターが増え、それによっても球数が少なくなると言えそうだ。「最近の選手は手足が長く指も長いから、ボールを挟むフォークボールは投げやすいし、落差も大きくなる。直球のスピードが上がったのは、肩回りを含めた体幹を鍛えるトレーニングが普及したことや、最新の機器を使って投球を科学的に分析し、それに応じたトレーニングができるようになったことも大きいと思います」(杉本氏)※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.24 07:00
週刊ポスト
巨人・畠世周に他球団が「トレードで欲しい」と熱視線「巨人の使い方はもったいない」
巨人・畠世周に他球団が「トレードで欲しい」と熱視線「巨人の使い方はもったいない」
  投手陣のコマ不足で悩む球団は多い。下位に低迷する球団はトレードでのテコ入れに動く可能性が十分にある。そのなかで他球団から評価が高いのが、巨人・畠世周(27)だ。パ・リーグ球団の編成担当が語る。「他球団のフロントとも話題に上がりますが、畠はいいですよ。故障が多いのはネックですが、先発ローテーションに入って2ケタ勝利できる能力は十分に秘めている。いまの巨人のように中継ぎの“便利屋”として使うのはもったいないですよ。尻上がりに調子を上げていくタイプなので先発向きだと思います。出血覚悟で主力を放出してでもトレードで獲得する価値は十分にあるでしょう」 パ・リーグだけではない。セ・リーグの球団からも「誰を放出すれば畠を獲れるかな」という声が聞こえてくる。 畠は当初、巨人でも「将来のエース」として期待は高かった。プロ1年目の2017年に13試合登板で6勝4敗、防御率2.99をマーク。150キロを超える直球、縦に落ちるカットボール、鋭く横滑りするスライダーは全てが一級品で、エース・菅野智之の後継者と目されていた。 だが、プロ6年目を迎えた現在でも、1年目の6勝が自己最多だ。1軍定着できない最大の要因は故障の多さ。2018年に腰痛、2019年に右肘の遊離軟骨除去手術、2020年に右肩の肉離れと毎年のようにケガで戦線離脱。ちなみにドラフト後にも右肘の遊離軟骨除去手術を行っている。「無事之名馬」という格言があるように、故障せずに試合で投げ続けることも一流と呼ばれる選手の条件だ。 昨季は開幕時に先発要員だったが、6月中旬から救援に配置転換。自己最多の52試合登板した。回またぎでも投げられるため首脳陣にとっては貴重な存在だ。4勝3敗1セーブ11ホールド、防御率3.07とセットアッパーで稼働した。 昨オフの契約更改で先発を希望していたが、今季も開幕から救援で起用されている。15試合登板で1勝4ホールド、防御率3.94(数字は5月11日終了時点、以下同)。4月30日の阪神戦で3点ビハインドの7回2死満塁から救援登板し、大山悠輔に押し出し四球、糸井嘉男に2点適時打、8回に山本泰寛に2ランを被弾したが9回まで投げ切った。2回2/3で48球を投げて2安打2失点の投球内容で、翌5月1日に登録抹消された。 スポーツ紙記者は畠に同情的な見方を示す。「大量失点で勝負が決している中、最後まで投げさせる必要があったのか……。畠はこの登板を含めて3試合連続回またぎで投げている。負担をかけすぎだと思います。右肘、右肩に不安を抱えていた投手ですし、先発ローテーションで間隔を空けてきっちり投げさせた方が良いように感じます」 ファームに降格し、今月7日のイースタン・ヤクルト戦で先発した際は6回3安打無失点と快投を見せている。先発陣を見渡すと戸郷翔征、メルセデス、シューメーカーは合格点をつけられる働きぶりだが、菅野は不安定な投球で4月30日に右肘の違和感で登録抹消されるなど全盛期の輝きはない。畠が先発要員として再昇格する可能性は十分にある。原監督の決断が注目されると共に、ゴールデンウィークの失速から再浮上を狙う巨人の命運を握る存在になりそうだ。
2022.05.12 19:00
NEWSポストセブン
予告先発で野球の楽しみ方はどう変わったか(写真は2011年。田中将大と斎藤佑樹のプロ入り初の直接対決。時事通信フォト)
プロ野球「予告先発」導入から10年 かつて野村克也・落合博満らが反対した理由
 先発投手が前日に判明する『予告先発制度』が両リーグで採用されてから、丸10年が経つ。パ・リーグは1994年から全試合で導入。当初、セ・リーグは採用を見送っていたが、2012年から導入し、同年から交流戦も含めてレギュラーシーズンの全試合が『予告先発』になった。野球担当記者が解説する。「もともと、観客動員に悩んでいたパ・リーグが1983年の開幕戦で初めて採用しました。その後、開幕戦や日曜日に『予告先発』をする年があって、1994年から全試合で行なうようになり、今に至ります。セ・リーグは“反対派”だった中日・落合博満監督が退任した翌年から導入されました」(以下同) 予告先発は誰が投げるか事前にわかることで、ファンを球場に呼びやすくなる。また、チームとしては、試合前のミーティングで1投手の対策に絞ればいいため、無駄がなくなるという利点がある。「『観客動員アップのため』は建前でしょう。セ・リーグは導入前の2011年と比べ、2012年の入場者数が減っています。だからといって、予告先発廃止の議論にはなりませんでした。もちろん、各チームのエース級投手が投げる日には、『ぜひ観に行こう』というファンも多くいるでしょうが、それ以外の予告先発はほぼ観客動員に影響しないのが現実。各球団の本音としては、余計な時間を使いたくないのでしょう。 先発を発表していない時代は、2~3投手への対策を立てながらも、予想外の違う投手が出てくることもあった。それが予告先発なら、余計な神経を使う必要もなくなる。その分、練習に集中できるし、正々堂々とした真っ向勝負になっていいという見方もある。一方で、予告先発は『強者がより強者になる』制度です。正攻法で戦えば、戦力のあるチームが有利になりますからね」新庄ビッグボスが指名する開幕投手も前日までに判明 2006年には、楽天の指揮官1年目の野村克也監督が12球団監督会議で、予告先発の廃止を主張。「相手の先発を教えてもらうと監督が楽。そういうことだから、後継者が育たない」「戦いは90%が読み。騙された、当たったという快感もある」「弱い球団には不利。奇策、奇襲が使えない」などと持論を展開した。だが、現在に至るまで同制度はなくなっておらず、“先発の読み合い”は消滅した。「予告先発がファンの楽しみを奪ってしまっている面もあると思いますよ。日本ハムの新庄剛志ビッグボスは開幕投手候補について『13人くらいいる』と発言しており、本当に誰が来るのかわからない。それでも、予告先発制度なので、前日までにはわかってしまう。サプライズ度やドキドキ感は半減どころか、8割くらい少なくなりますよね。 予告先発がセ・リーグになかった2004年、就任1年目の中日・落合博満監督が開幕投手に3年間一軍での登板がなかった川崎憲次郎を抜擢した時、ナゴヤドームが驚きの声で溢れ返りました。予告先発は“筋書きのないドラマ”と言われるプロ野球の筋書きを作ってしまっている点も忘れてはいけない」 名将・野村克也監督が「弱い球団には不利」と指摘した予告先発。3年連続でパ・リーグ5位に沈んでいる日本ハムにとっても不利に働く可能性があるが、新庄ビッグボスはどう対応するのだろうか。「新庄ビッグボスのことですから、予告先発制もうまく利用するとは思います。例えば、右投手を先発させ、打者1人に投げ終えたところで、左投手に変えるなんてこともあると思います。意外な采配でファンを楽しませてくれるのではないでしょうか」金田監督は奇襲失敗、野村監督は成功 パ・リーグが4月から8月までの日曜日を予告先発としていた1990年、ロッテの金田正一監督が奇襲を敢行している。8月5日のオリックス戦(西宮球場)で、左の中継ぎである今野隆裕を今季初先発させたものの、わずか2打者4球で右腕の小川博にスイッチした。この時は、小川は打ちこまれ、ロッテは3対12と大敗を喫した。 同じ年、予告先発制度のないセ・リーグではヤクルトの野村克也監督が10月1日の広島戦(広島市民球場)で、右投手の郭建成を先発させた。『3番・ライト』に偵察要員を入れていた広島の山本浩二監督はそれを見て、左打者の長内孝に代えた。野村監督は郭が先頭の野村謙二郎を1球で打ち取ると、左投手の加藤博人に交代させた。加藤は6回まで1失点に抑え、後を継いだ内藤尚行が3イニングを締めて、3対1で勝利している。「ロッテ金田監督の奇襲の時は、当時のオリックスがスイッチヒッターの松永浩美から始まり、門田博光、石嶺和彦、ブーマー、藤井康雄など打線はほとんど固定されていたので、あまり効果がなかったのでしょう。一方、広島は先発が右か左かで、打線が変わっていた。野村監督がそこに目をつけて、奇襲でうっちゃった。 今年も予告先発制で行われますが、両リーグで採用されて丸10年が経ったわけですし、本当に必要なのか、野球の楽しみを奪っていないかという議論は、常に続けていったほうがいいと思います」 予告先発がドラマを奪っているのか、あるいは新たなドラマを生むのか──。
2022.03.15 07:00
NEWSポストセブン
水島新司さんと親交の深かった南海OBが思い出を振り返る(時事通信フォト)
追悼・水島新司さん 藤原満、江本孟紀、村上雅則ら南海OBが語る思い出
『ドカベン』『野球狂の詩』など数々の野球漫画を世に送り出した漫画家・水島新司さんが逝去した(享年82)。自身も大の野球ファンだった水島さんの贔屓球団は、『あぶさん』で描かれた「南海ホークス」。“登場人物”にもなり、付き合いの深かった南海OBが思い出を振り返る。「グラウンドにしょっちゅう来られていましたが、最初は何者か分かりませんでした。しばらくして漫画家だと分かったが、水島先生はあんな風貌だし(笑)、最初はその程度からのスタートですよ」 そう懐かしむのは、南海一筋で14年間プレーしたリードオフマン・藤原満氏(75)だ。1973年に連載が始まった『あぶさん』は、飲んべえの“代打屋”景浦安武(あぶさん)が南海ホークスに入団するところから始まる。作中では実在の選手が多数登場するが、藤原氏は「親友役」として描かれている。「連載が始まった時期と私がレギュラーになった時期が重なったからか、景浦とは同い年の同期入団、しかも親友という設定でした」(藤原氏) 水島氏は当時はまだ人気でセ・リーグに劣っていたパ・リーグに光を当てたことでも注目された。「あの頃のパ・リーグはお荷物とか言われて人気がなかったので感謝しています。南海の本拠地は大阪の下町でしたが、ミナミや西成といった庶民的な空気を含めて描いてもらったのも良かった。水島先生は徹底的に南海を取材していて、球場の看板からベンチ、ロッカーまですべて写真のように再現されていた。そのリアリティがたまらなかったですね」(藤原氏) 南海のエースとして活躍した江本孟紀氏(74)もこう語る。「漫画を読んでいなかったのですが、僕は一滴も飲めないのに、『飲んべえ』として登場していると周りから聞いたんです。それで水島先生が球場に来られた時に、“僕は飲めないんです”と伝えると、次からは下戸で登場してましたわ(笑)。ただ、それでも世間では僕は大酒飲みだというイメージが今でも定着しているようで、その影響力には恐れ入りますよ」 水島さんは南海選手に様々なサポートをしてきたことでも知られる。日本初のメジャーリーガー・村上雅則氏(77)はこんな経験を明かす。「取材にいらした水島先生から『スーツの仕立券』をもらったことがあるんです。その時はメジャー時代のことを聞かれて、色々とお話ししました。好奇心旺盛で、つい気を許してしまうような親しみがありました。仕立券はそのお礼でした。ストーリーに役立ったかは分かりませんが、とにかく研究熱心な方でしたね」※週刊ポスト2022年2月4日号
2022.01.24 11:00
週刊ポスト
昨シーズン「投手5冠」を達成したオリックスのエース・山本由伸(時事通信フォト)
山本由伸、ラオウ、則本昂大 パ・リーグのスキャンダル3人組が大活躍
 今季25年ぶりにパ・リーグを制したオリックス。一部のファンから本誌・週刊ポストにこんな声が届いた。「ポストの意地悪に負けじと2人とも絶好調や」 18勝5敗、防御率1.39で沢村賞を含む史上8人目の「投手5冠」を達成したエース・山本由伸(23)と、本塁打王を獲得した「ラオウ」こと四番・杉本裕太郎(30)。 投打の主軸2人には、本誌にスキャンダルを報じられたという共通点があった。 山本は五輪直前の2021年7月にモデル・野崎萌香(31)と密会していた。野崎の友人女性も交えて食事後、都内高級ホテルの客室行きのエレベーターに。野崎と友人がロビーに降りてきたのは日付が変わる頃だった。 一方の杉本は5月に緊急事態宣言中にもかかわらず「秘密の合コン」を行なったことが発覚。チームメイトと共にホテルの一室で、20代女性3人を呼び寄せて夜中まで飲み会を楽しんでいた。 ところが、この報道を境に、2人は破竹の快進撃を始めた。「山本は東京五輪でもエースとして活躍し、後半戦は負けなしの10連勝という驚異的な成績。報道が出ても野崎とは友人関係を保ちつつ、心配された“骨抜き”にされるようなことはなく、野球に対するストイックな姿勢は一切変わっていないようです。 杉本は昨季まで二軍生活で、四番になった直後のスキャンダルだけに、中嶋聡監督にもきついお灸を据えられたと聞きます。しかしそれ以降、グラウンドでも目の色が変わったように感じました。まさか本塁打王を獲得するまでに化けるとは」(スポーツ紙デスク) 惜しくも3位に終わった楽天にも、“仲間”がいる。昨季まで2年連続で勝利数が1桁台と低迷していたが、今季はチーム最多の11勝と復活を遂げた則本昂大(31)だ。 開幕直前の3月下旬、則本が高校時代の後輩だった妻と離婚していたことを本誌は報じた。原因は不倫で、不倫相手との間には子供まで生まれていたことを、本人は認めた。「せめて野球では結果を出さなければという想いがあったのでしょう。気合いが入った投球を続けていました。投球で信頼を勝ちとり、チームの中心にいます」(球団関係者) スキャンダルを実力でねじ伏せた。※週刊ポスト2022年1月1・7日号
2021.12.28 07:00
週刊ポスト
仰木監督とイチロー(時事通信フォト)
仰木監督のDNAを継ぐオリ中嶋聡監督 現役時代はウマが合わなかった
 2年連続の最下位、シーズン途中での監督交代。昨年の惨状から誰がこんな結果を予想できたか。ファンも評論家も「奇跡」と呼ぶオリックス・バファローズのパ・リーグ優勝だが、中嶋聡監督らにとっては“懐かしい景色”だったのかもしれない。この優勝を導いたのは、25年前、名将・仰木彬の薫陶を受け、そのDNAを引き継いだ者たちだった。(全3回の第2回) 仰木オリックスの記憶と記録は輝かしい。 1995年1月に発生した阪神・淡路大震災で、日本列島は悲しみに打ちひしがれていた。そこで、「がんばろうKOBE」を合言葉に、戦ったのが当時兵庫県に本拠地を置くオリックスだった。イチローをはじめ、田口壮、ニール、福良淳一、藤井康雄が並ぶ打線に、投手陣は野田浩司、星野伸之、長谷川滋利の先発3本柱が2ケタ勝利をマーク。彼らをリードしたのが中嶋で、見事にリーグ優勝を飾った。翌1996年は巨人を破って日本一に。データに直感を加えた采配は「仰木マジック」と呼ばれた。 イチロー、田口と共に12球団一の外野と評された優勝メンバーの本西厚博氏はこう振り返る。「仰木采配の根本は徹底的なデータ野球でした。相手投手との相性で、毎試合、打線を変えていました。中嶋の場合は運もあった。今年はイチロー以来の2年連続首位打者になった吉田が骨折して離脱したが、4番の杉本裕太郎(30)と1番の福田周平(29)が穴を埋めたからね。機動力を使うことに関しては、仰木監督のほうが巧みでした」 実際、仰木監督は「仰木マジックとよく言われますが、そんなの本当はないんです。あえて言えば確率です」と、データに基づいた采配だったことを明かしている。 二軍打撃コーチとしてイチローと二人三脚で「振り子打法」を完成させた河村健一郎氏もこう振り返る。「仰木監督は結果さえ伴えば選手を使ってくれる人でした。イチローは入団当初、首脳陣から“足を生かすためにゴロを打つフォームに変えろ”と言われていました。しかし、長所のレベルスイングを伸ばすべきだと考え、1年間、方針に背いて基礎体力トレーニングだけさせていました。翌年、就任した仰木監督に相談したところ、指導方針を一任してくれました」 仰木監督は就任1年目の1994年にイチローを一軍に抜擢、シーズン210安打のプロ野球新記録の偉業を達成させた。登録名を本名の鈴木一朗から「誰にでも分かる名前にしたほうがいい」と変えさせたのも仰木監督であり、まさに「イチロー産みの親」である。 仰木監督にとってのイチローは、中嶋氏にとっての「ラオウ」だろう。 二軍監督時代から中嶋氏が長距離砲としての資質を高く評価していた「ラオウ」こと杉本は今季、4番に定着。自己最多の32本塁打で初のタイトルを獲得した。 現役時代に中嶋氏とバッテリーを組んでいた野田氏は「二軍監督時代に選手の力を把握していた経験が生きている」と分析する。「これまでの杉本は三振が続くと二軍に落とされていたので打撃に思い切りがなかったが、中嶋監督が使い続けたことで“三振しても使ってもらえる”と、いい方向に向かった。これは高卒2年目の紅林弘太郎(19)にも言えます。彼らが不振に陥ったり、エラーを犯しても使い続けたことで、大きく飛躍しました」 若手選手が成長できたのには中嶋氏の人心掌握術も大きいという。「選手の性格を把握して、明るく声を掛ける、黙って見守る、アドバイスするなど対応を変えていた。紅林が落ち込んでいると“2年目はオレもそんなもんだったよ”と、杉本には“相手バッテリーが警戒している。大したもんだ”と声を掛けるなど、仰木監督顔負けのフォロー上手でした」(在阪スポーツ紙記者) 選手に対する気配り、洞察は現役時代から得意にしていたようだ。前出・野田氏が言う。「僕は阪神から移籍してきたんですが、正直、(球場の)お客さんが少なくて初登板の時は戸惑っていました。すると、中嶋がマウンドにやってきて“パ・リーグはお客さんが盛り上げてくれないので、自分で気持ちを奮い立たせてテンションを上げていかないとダメですよ”とアドバイスしてくれましたね」ウマが合わなかった 意外なことに現役時代の中嶋氏は仰木監督とウマが合わなかったという。 当事者たちは揃って「2人は決して良好な関係には見えなかった」と口にする。同僚の野田氏は「中嶋は若かったし、向こうっ気が強かった」と言い、投手コーチとして仰木監督の隣にいた山田久志氏も「仰木監督の采配には、相手投手との相性や、ひらめきが含まれていたので、中嶋も理解できない部分があったのだろう」と追従する。 しかし、中嶋氏が仰木監督への想いを変えたのは29年間の現役生活で9人の監督の下でプレーしたことが理由のようだ。山田氏が続ける。「(仰木時代の)後の長い野球生活で、他の監督の指導像も見ながらうまく消化していったんでしょう。仰木監督だけでなく、上さん(上田利治・中嶋氏の阪急時代の監督)ら歴代監督の良いところを吸収しているように見える」 仰木監督に敬意を表しながらも、25年前の「仰木マジック」をそのまま踏襲しているわけではない。今の若い選手は25年前と気質が違う。様々な監督から学んだ経験を基にアレンジしている。ブルーサンダー打線の主軸として連覇に貢献した藤井康雄氏は中嶋監督が選手と向き合う姿勢に、称賛の言葉を送る。「現役時代に怒られていたサメ(中嶋氏のニックネーム)が、監督になって選手を責めない。なかなかできないと思いますよ。それで選手との信頼関係が生まれる。サメは信じた選手をとことん使っています。仰木監督になかった辛抱強さはある」(第3回に続く)※週刊ポスト2021年11月19・26日号
2021.11.09 16:00
週刊ポスト
監督就任会見で以前と変わらぬエンターテイナーぶりを見せた新庄剛志氏(時事通信フォト)
日ハム・新庄監督は策士? 「優勝なんか目指しません」発言の不気味
「優勝なんか一切目指しません」。11月4日、日本ハム監督の新庄剛志氏が就任会見を行い、相変わらずのエンターテイナーぶりを見せつけた。冒頭で「これからは顔を変えずにチームを変えていきたいと思います」と冗談交じりに宣言し、「試合中にインスタライブができれば最高」「監督と呼ばないで。ビッグボスでお願いします」など従来の監督像を打ち破る発言を連発した。 中でも、「優勝なんか一切目指しません」という一言に驚いた人は多かったかもしれない。その直後、「優勝という高い目標を持ちすぎると選手はうまくいかないと僕は思っているんですよ」と発言の意図を説明し、「1日、1日、地味な練習を積み重ねてシーズンを迎えて、何気ない試合、何気ない1日を過ごして勝ちました。勝った、勝った、勝った、勝った……それで9月辺りに優勝争いをしていたら、さあ優勝を目指そう。そこで気合の入り方が違うと思う。そういうチームにしたい」と抱負を語った。プロ野球担当記者が話す。「新庄監督は引退してから去年まで日本の野球を見ていなかったと言っていましたが、非常に理にかなった発言だと感じました。というのも、最近のパ・リーグは開幕ダッシュをして、そのまま逃げ切るチームはほとんどないからです」(以下同) 今年25年ぶりに優勝したオリックスは3・4月、5月と2か月連続で負け越し。例年通りのBクラスかと思われたが、交流戦で波に乗って6月は月間首位に。ロッテとのマッチレースとなった10月も月間首位と勝ち星を積み重ね、ペナントを制した。 それは何も今年に限った話ではない。コロナ禍で開幕がズレ込んだ昨年、ソフトバンクは6月3勝6敗1分とスタートは良くなかった。しかし、7月に18勝9敗と巻き返し、9月は負け越して停滞するも、10月に22勝4敗と驚異的な数字を残し、3年ぶりの優勝を決めている。日本シリーズでは前年に引き続き、巨人を4タテで下した。「昨年まで4年連続日本一のソフトバンクはいずれもシーズンの終盤にピークを持っていき、プレーオフを勝ち上がっていきました。逆に、巨人は2年連続で終盤に調子を落とし、日本シリーズで惨敗している。クライマックスシリーズができてから、特に終盤の追い上げが重要になっています」 新庄ビッグボスが現役最終年に優勝を果たした2006年、日本ハムは3・4月を貯金1の月間4位で終え、必ずしもスタートダッシュに成功したとは言い難かった。しかし、夏場以降に調子を上げていき、8月、9月と2か月連続月間首位で、開幕ダッシュに成功した西武を振り切っている。「最近10年のパ・リーグで、3・4月(2020年は6月)首位のチームが優勝した例は2012年の日本ハムと2018年の西武の2例しかない。むしろ、シーズン終盤に勝てるチームがペナントを制している。そういう意味で、新庄監督の『9月あたりに優勝争いをしていたら、さあ優勝を目指そう』というギアの上げ方は合理的だと思います」 昨年最下位のオリックスが優勝した今年のパ・リーグ。3年連続5位の日本ハムが来年、“新庄ビッグボス”の手腕で覇権を握ってもおかしくない。「優勝なんか一切目指しません」と言っておきながら、実はなかなかの策士かもしれない。
2021.11.05 07:00
NEWSポストセブン
時事通信フォト
ヤクルトとオリックス、まさかのリーグ優勝から勇気を授かる思考法
 勝負はフタを開けてみなければわからない。改めてそう思わせてくれる2021年のプロ野球シーズンだった。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。 * * * 世の中、何が起きるかわかりません。今年のプロ野球は、そのことをあらためて思い知らせてくれたと言えるでしょう。セ・リーグはヤクルト、パ・リーグはオリックスと、どちらも2年連続で最下位だったチームがリーグ優勝を果たしました。 この先、日本シリーズへの出場権をかけたクライマックスシリーズがありますが、2021年のシーズン全体を通して「リーグでもっとも強かった」のは、この2チームです。シーズン前にこの結果を誰が予想したでしょうか。そう、誰も予想していませんでした。 毎年、プロ野球の開幕前には、たくさんの野球評論家やスポーツメディアが、今シーズンの順位を予想します。たとえばフジテレビ系の『プロ野球ニュース』では、22名の解説者が予想を発表しました。セ・リーグは6割以上に当たる14名が、2年連続リーグ優勝を果たしている巨人の優勝を予想(実際は3位)。パ・リーグも13人が、日本一4連覇を成し遂げたソフトバンクの優勝を予想しました(実際は4位)。 セで優勝したヤクルトは、22人のうち半数の11人が最下位になると予想。5位が7人で4位が2人。Aクラスの3位になると予想したのは江本孟紀氏とヤクルトOBの真中満氏だけでした。パで優勝したオリックスも、最下位が3人、5位が10人、4位が8人。3位と予想したのは松本匡史氏だけです。1位か2位になると予想した人はゼロでした。 いわゆる一般紙も、順位予想はありませんが、開幕前にはシーズンの展望や各チームに関する寸評を掲載します。ヤクルトは「投手陣に不安残す」(毎日新聞)、「先発陣の枚数に不安を抱える」(朝日新聞)、「苦しい投手陣」(読売新聞)と投手力を酷評されました。しかし、エースの小川や2年目の奥川らの活躍で、リーグ3位の防御率を残しています。 オリックスも、投手陣は比較的高評価でしたが「課題は2年連続リーグ最少の得点力」(毎日新聞)、「得点力不足解消が課題」(読売新聞)と、打撃が不安視されていました。ところが、主砲の吉田(正)が2年連続首位打者となり、大化けした杉本が3割30本を達成して本塁打王に輝くなど、チーム打率と本塁打数でリーグ1位となっています。 いや、予想が外れたことを責めたいわけでも揶揄したいわけでもありません。予想は外れるものであり、外れるからこそ世の中や人生が楽しく盛り上がってくれます。あらためて思い知ったのは「あいつはしょせん負け組」「あの会社(メンバー)にこんなことはできっこない」という決めつけは、ひじょうに危険だということ。逆に「あいつにはかなわない」「どうせまたあの会社の勝ち」といった負け犬根性を持つ必要はないということ。 世の中の大半は、巨人やソフトバンクのような「勝って当たり前の存在」ではありません。そういう人は、例えとしての「去年までのヤクルトやオリックスのような存在」なんて眼中にないでしょう。ほとんどの人は、ヤクルトだったりオリックスだったり、あるいは中日だったり日本ハムだったりします。 ところが、ヤクルトもオリックスも見事にやってくれました。予想を覆して、客観的な戦力不足を各自のやる気やチームワークではね返しました。両チームのファンじゃなくても、ぜんぜんかまいません。次の3つの勇気を授かってしまいましょう。その1「どうせ勝てないと見られているからといって卑屈になる必要はない」その2「手持ちの武器が足りなくても、どうにかなるときはどうにかなる」その3「負けても失うものはない。もし勝てたら、爽快感は半端ではない」 会議で出世頭の同期の意見に疑問を抱いたときは、心の中で「俺はヤクルトだ、俺はオリックスだ」と言い聞かせながら、ビシッと異を唱えてやりましょう。もしかしたら思いがけず多くの賛同を得られて、リーグ優勝的な展開になるかもしれません。 家庭内でも、妻や成長した子どもたちという文句なしに強い「巨人」に対して、たまには歯向かってもバチは当たらないはず。まずはテレビのチャンネル争いで「俺はこれの番組が見たい!」と主張してみましょう。「あ、そう。じゃあ見れば。私、YouTubeのほうがいいから」なんて言われるかもしれませんが、大切なのは主張したという事実です。 今まさに、衆議院選挙の真っただ中。さて、どういう結果になるのでしょうか。たとえヤクルトやオリックス的な政党や候補者を応援していたとしても、「どうせ勝てないし……」と諦めるのは避けたいところ。大番狂わせがあるかもしれません。どこがどうとは申し上げませんが、一票という貴重な打席を無駄にしないようにしましょう。 と、いいことを言っているような話に結び付けることができました。セパともに来週6日からは、クライマックスシリーズが始まります。せっかく予想を覆して優勝したんですから、ヤクルトにもオリックスにも勝ち抜いてもらいたいもの。3位の巨人や楽天が底力を発揮して日本シリーズに行ったら、それはそれで「ああ、世の中ってのはそういうもんなんだな」という“学び”を得ることはできますけど。
2021.10.31 16:00
NEWSポストセブン
ファンに頭を下げる中田(時事通信フォト)
中田翔、出場停止期間の“大幅短縮” 「野球で結果を残せばいい」の筋違い
 日本ハムから巨人に電撃移籍をした中田翔(32)が、移籍早々に活躍している。中田は8月4日、DeNAとのエキシビションマッチ前にチームメイトに暴行を働き、11日から日本ハムから無期限出場停止処分を受けていた。だが、20日に巨人への無償トレードが発表されると、同日限りで処分は解除に。21日には1軍登録されて代打で初出場。22日には『5番・ファースト』でスタメン起用され、移籍後初本塁打を放った。プロ野球担当記者が話す。「普通のトレードだったら、ファンにもっと歓迎されたかもしれません。しかし、相手が脳震盪を起こしたと言われるほどの暴力を振るって“無期限出場停止”になったのに、移籍でそれがチャラになって優勝争い中の巨人の貴重な戦力になっている……。さすがに、プロ野球ファンからも不満の声が多く聞こえてきます」(以下同)“無期限出場停止”が謳われながら、結果的に8月13日のリーグ戦再開後、中田は日本ハムで5試合欠場したのみに。出場停止期間は、わずか10日間で終わった。「過去、謹慎処分になった選手と比べても、結果的に大甘裁定になったと言えるでしょう。巨人の山口俊は2017年夏に病院の扉の損壊や警備員への暴行で、傷害と器物損壊の疑いで書類送検され、8月18日からシーズン終了まで出場停止処分となった。古くは巨人の桑田真澄が1990年に逮捕歴のある人物からの金品授受などが発覚して開幕から1か月の謹慎処分になっています」 山口は翌年にノーヒット・ノーランを達成し、翌々年には最多勝を獲得。桑田は同年、勝ち星数、防御率ともにリーグ2位。この前後を挟んで、6年連続2桁勝利を挙げ、1994年にはMVPにも輝いた。「2人とも謹慎が長かった分、精神的に強くなった面もあったと思います。特に、桑田の場合はバッシングの嵐に晒されましたから、相当堪えたと思います。あの頃はまだJリーグもなく、メディアのスポーツ情報といえば野球ばかり。その中心に巨人がいた。注目度は今とは比べものにならないほど高かったですから」大甘裁定だと再び問題を起こしかねない 一方で、不祥事などへの処分は、人気選手ほど甘くなる面もあるという。1989年9月、ロッテの平沼定晴から死球を受けた西武の清原和博は、マウンド目掛けてバットを投げつけるなどの暴行を働いた。平沼は全治2週間のケガを負ったが、清原は2日間の出場停止処分に留まっている。1988年、南海のバナザードは同僚のライトが死球を受けたことに激昂し、ベンチを飛び出して近鉄の加藤哲郎へ暴行。7日間の出場停止となっていた。1986年には近鉄のデービスが西武の東尾修から死球を受けてマウンドに駆け上がり、パンチやキックを見舞って10日間の出場停止に。バナザード、デービスらと比べ、パ・リーグ連盟の清原への処分は甘いと言われた。「当時パ・リーグは今と比べて人気がなかったし、優勝争いで盛り上がる中で、スター選手の清原を何日も休ませられないという配慮もあったのではないでしょうか。 中田の“ヤンチャさ”も、能力や人気の高さゆえに許されてきた部分があったでしょう。とはいえ、人気があるがゆえにそうした面を見過ごしてきたことが、今回の暴力事件に繋がった面もあると思います。それなのに、またすぐに処分が解ける“大甘裁定”が下された。これでは、『再び問題を起こしかねない原因を日本ハムと巨人が作ってしまった』と言われても否定できない」 この問題は、野球で結果を残せば解消されるわけではない。「もっと反省させる期間を設けなければならなかったのではないでしょうか。人間誰しも間違いは犯しますが、それでも、謹慎期間が長ければ、その分、反省時の苦しみも覚えているものです。たった半月程度の謹慎では、忘れるのも早くなる。トレード自体は良いとしても、“無期限出場停止”というなら、少なくとも今シーズン終了までは解除すべきではなかったのでは。 中田本人は、プロ野球選手である以上、グラウンド上のプレーで名誉挽回したいと考えているかもしれませんが、プレーとは別の部分で起こした問題なのだから、それは筋が違う。中田が活躍して巨人が逆転優勝しても、他球団のファンのみならず、複雑な気持ちになるG党もたくさんいると思いますよ」 グラウンドで取り返せばいい──と素直に言えないところに、この問題の根深さがあるのではないだろうか。 
2021.08.23 16:00
NEWSポストセブン
在阪マスコミは「阪神一色」だが(撮影/杉原照夫)
阪神に朗報? 日本シリーズ「関西対決」と東京五輪の奇しき因縁
 前回の東京オリンピックが開催された1964年は、プロ野球界で「初めて」が多く生まれた年でもあった。巨人の王貞治がシーズン55本塁打の日本記録を作り、その打ちまくる王を抑えるため、広島が初めて「王シフト」を敷いたのもこの年だった。 そして、日本シリーズはセ・リーグを制した阪神タイガースと、パ・リーグを制した南海ホークスの戦いになった。関西の球団同士の日本シリーズも史上初のことだった。しかも、シーズン終盤に台風が直撃するなど天候に恵まれず、阪神が優勝を決めたのは、本来なら日本シリーズの第2戦が予定されていた9月30日までずれ込んだ。その翌日の10月1日から慌てて日本シリーズが行なわれたのは、もちろん東京オリンピックがあったためだ。 かつて体育の日だった10月10日は、その東京オリンピックの開幕日を記念したものだ。若い読者はこの日付を知らないかもしれないが、1999年までは「体育の日」として国民に親しまれ、多くの小中学校では運動会・体育祭が行なわれた。その後、体育の日は10月第2月曜日に変更され、2020年からは「スポーツの日」と名前が変わった。また、昨年と今年はオリンピックの開会式予定日に合わせて7月24日、7月23日に移動されている。 話を戻すと、日本シリーズはホーム&アウェイ&ホームで2連戦(移動日)3連戦(移動日)2連戦を行なうため、最終戦までもつれれば9日間かかる。1964年に阪神が優勝を決めた翌日から日本シリーズを強行したのは、ぎりぎり10月10日のオリンピック開幕前にプロ野球を閉幕するためだった。 ところが、その思惑も外れることになる。シリーズは初戦から順に南海、阪神、阪神、南海、阪神が勝つ一進一退の展開で拮抗し、なんと第6戦は雨で順延。その試合を南海が勝って3勝3敗としたところで、10月10日を迎えてしまったのである。いくらなんでもオリンピックの開会式と日本シリーズの最終決戦を同時にやることは憚られたため、第7戦は開会式が終わったあと、ナイターで行なわれることになった。これは初めて日本シリーズがナイターで行なわれた記録でもある。 さて、2度目の東京オリンピックが予定されている今年は、奇しくもそれ以来の「関西ダービー」の日本シリーズが実現する可能性がある。6月を終えてセ・リーグの首位は阪神、パ・リーグはオリックスである。『週刊ポスト』(7月5日発売号)では、早くも関西対決で盛り上がる両チームのOBやファンの熱狂を特集している。評論家らの評価では、人気の阪神vs実力のオリックスという見方が多いようだが、戦力分析は本誌に譲り、ここでは「人気の阪神」を示す在阪スポーツ紙の“えこひいき”ぶりを紹介する。 5大スポーツ紙(日刊スポーツ、スポニチ、サンスポ、デイリー、報知スポーツ)の1面を調べてみると、オリックスが交流戦優勝を決めた翌日(6月13日)でも、阪神、阪神、阪神、阪神、巨人だった(報知は常に巨人)。オリックスがパ・リーグで単独首位に躍り出た翌日(6月22日)はというと、これも安定の阪神、阪神、阪神、阪神、巨人(笑)。 では、関西ダービーの報じ方を占う交流戦での両チームの直接対決ではどうだったか。今年は6月1日から甲子園で3連戦を戦ったが、初戦でオリックスが勝った翌日は、「五輪選出の阪神選手」が3紙(日刊スポーツ、スポニチ、デイリー)、大坂なおみ(サンスポ)、巨人・岡本和真(報知)。2戦目に阪神が勝つと、翌日は報知以外の4紙がタイムリーを打った阪神・北条史也でそろい踏み。3戦目は再びオリックスが勝ったのだが、翌日の4紙は阪神の大山悠輔、佐藤輝明のホームランが1面を飾った。 コロナ前の2019年シーズンの観客動員数は阪神が約309万人でオリックスは約173万人と大きな差があった。57年前の阪神と南海ほどの差ではないが、いまだ在阪メディアでは、阪神中心は揺るがないようだ。
2021.07.03 07:00
NEWSポストセブン
「日本生命セ・パ交流戦」開幕を前に、オンラインで記者会見する注目選手たち(NPB提供。時事通信フォト)
交流戦はセ・リーグのペナントレースへの影響少ない現実 下馬評覆せるか
 5月25日からプロ野球交流戦が始まる。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大によって開幕が遅れ、交流戦は中止に。今年は広島で陽性者が相次ぎ、広島対西武戦の2試合の延期が発表されたが、交流戦自体は2年ぶりの開催となる。過去15年の成績を振り返ってみると、セ・リーグの勝ち越しは2009年の1度だけ。それ以外はパ・リーグに軍配が上がっている。プロ野球担当記者が話す。「セ・リーグの監督は『交流戦は5割でいい』と思っている節がある。実際、2006年の巨人や2015年のDeNAのように首位のチームが交流戦で大失速するケースもありますが、少しの負け越しならセ・リーグのペナントレースにはあまり影響がないんです」(以下同) 交流戦15年のうち、2010年の中日は借金2、2015年のヤクルトは借金1、2018年の広島は借金4と負け越しながらも、ペナントレースを制している。「かつては交流戦がシーズンの命運を握っていました。落合博満監督が指揮を執っていた2005年の中日は、4番のタイロン・ウッズが5月5日のヤクルト戦で頭部付近の投球に怒って、藤井秀悟に暴行を働き、10試合の出場停止に。主砲の欠場が大きく響き、交流戦序盤10試合は2勝8敗となり、通算でも15勝21敗で失速。交流戦セ首位の阪神とは7ゲームもの差がついた。この負け越しが痛く、阪神がペナントを制覇。中日は連覇を逃しました」 原辰徳監督が復帰した2006年の巨人もリーグ首位を走っていたが、交流戦で信じられない失速を見せた。「主力が続々と故障で離脱し、5連敗、8連敗を喫して、13勝23敗と借金10を作ってしまった。5月27日のロッテ戦で高橋由伸がダイビングキャッチを試みて左肩を負傷、6月2日の西武戦で打球を処理する際に小久保裕紀が右手親指を剥離骨折、6月18日の楽天戦で阿部慎之助が右手親指を負傷するなど、チームリーダーを欠いてしまった」交流戦負け越しでもリーグ優勝 交流戦がスタートした当初、セ・リーグとパ・リーグの差は拮抗していた。2005年はセ104勝パ105勝、2006年はセ107勝パ108勝とわずか1勝差でパが勝ち越し。2009年に初めてセが70勝でパの67勝を上回ったが、以降は10年連続でパが勝ち越している。「初めの頃はセとパの交流戦順位にバラ付きがあり、リーグ戦に大きく影響していた。しかし、2010年はパ・リーグが6位までを独占。セ・リーグ1位の巨人は勝率5割のため、借金2の中日と差がつかなかった。2015年はパ・リーグで負け越したのはオリックスだけ。セ・リーグ1位の阪神は貯金2つに留まったため、借金1のヤクルトは遅れを取らずに済んだ。2018年はヤクルトがパ・リーグを差し置いて交流戦1位になったが、借金4と苦しんだ広島がリーグ戦再開後に立て直し、3連覇を果たした」 交流戦でセ・リーグ1位になったチームのペナント制覇は15度中9度。2位以上に対象を拡げると、15度中12度と8割の確率で優勝を遂げている。ただ、18試合制になった2015年以降は、前述のヤクルト、広島と負け越したチームが2度も優勝している。悲しい現実として、セ・リーグの中で交流戦の影響は少なくなっている。「現在リーグ首位の阪神は、交流戦を5割で乗り切れば、16年ぶりのリーグ優勝が現実味を帯びてくるでしょう。逆に、4.5ゲーム差を付けられて2位の巨人は坂本勇人、菅野智之、梶谷隆幸など主力を故障で欠いており、厳しい戦いが強いられますが、なんとしても勝ち越して、阪神との差を詰めたい」 巨人は過去8度、交流戦で勝ち越している。そのうち、2005年を除く7度でリーグ優勝という縁起の良いジンクスもある。阪神は過去6度の勝ち越し。該当年は全てAクラスに入っている。「戦う前からセ・リーグの劣勢が予想され、負け越しでも優勝できるというデータは寂しい。セ・リーグのチームが交流戦で大きく勝ち越して、かき回してほしい。現実的には、過去10年日本シリーズでセ・リーグは1度しか日本一になっていないし、今年も厳しい戦いになるとは思いますが……」 5割とは言わず、セ・リーグには2009年以来の勝ち越しを目指して奮起を期待したい。
2021.05.25 16:00
NEWSポストセブン
ノーヒットノーラン目前が3度もある西口文也もセリーグ所属だったら?(時事通信フォト)
西口文也、松坂大輔、杉浦忠ら セなら200勝達成できた?
 もし、あの選手がパ・リーグではなくセ・リーグにいたら……。日本シリーズでソフトバンクがセ・リーグ最強の巨人に2年連続で4連勝したのを見て、勝敗以上にセとパの力の差を感じた野球ファンも少なくないかもしれない。 振り返れば、強打者揃いのパ・リーグに在籍していたがために、名球会入りの条件である200勝を阻まれた投手も多いのではないか。 西武一筋21年、2015年に引退した西口文也(182勝)には常に「不運」の2文字がつきまとう。「西武で長くローテーションを張り、安定感は抜群だった。奪三振率も高かったが、被本塁打率が高くあと一歩で勝ちを逃すことが多かった。ノーヒットノーランを達成目前で4回も逃したことも、“一発に泣いた”ことをよく表わしている」(スポーツ紙記者) 相手がフルスイングのパの強打者でなかったら──そう思えてくる投手だ。 同じ西武には、“怪物”松坂大輔(40、170勝)もいる。もしパやメジャーではなく、全盛期にセで投げていたら……と考えるのは欲張りすぎか。 オリックスと阪神に所属したサウスポー・星野伸之(176勝)については議論が分かれる。「最速130キロのストレートと70キロ台のスローカーブで打者を翻弄した球史に残る“軟投派”です。セならもっと活躍したかもしれないが、初球からブンブン振ってくるパだから凡打を量産できたという見方もある。全盛期にセで投げる姿を見たかった」(同前) 阪急ブレーブスなどのエースとして歴代2位の350勝をあげた野球評論家・米田哲也氏の同世代にも、「もしセで投げていたら」という投手がいるという。「やはり南海の杉浦忠(187勝)ですね。西鉄の稲尾和久との投げ合いで、だいぶ勝ち星を損している気がします。あのアンダースローはセの打者もキリキリ舞いさせたでしょう。 同じくアンダースローでは、阪急でチームメイトだった足立光宏(187勝)も素晴らしかった。ストレートで押す山田久志と対照的に、投げる球全てが変化した。とくにシンカーは絶品です。日本シリーズ男と呼ばれてV9時代の巨人に立ちはだかったことを考えても、セならもっと記録を残したのではないか」 名球会には「通算250セーブ」という条件もある。過去に達成しているのは岩瀬仁紀(407セーブ)、佐々木主浩(381セーブ)、高津臣吾(313セーブ)と、いずれもセ出身者が並ぶが、パにも有力候補がいた。「ロッテやオリックスなどを渡り歩いた小林雅英(234セーブ)、ソフトバンクとオリックスに所属した馬原孝浩(182セーブ)はいずれも150キロ超の速球が武器で、セならもっと活躍したでしょう。特に小林は交流戦でMVPを獲ったこともある。小林と対戦した選手は『シュートも150キロ出ていた』と口を揃える。そんな投手、セにはいないでしょう」(前出・スポーツ紙記者) 名球会に入れるかどうかは、コーチや解説者の受け入れ先など、引退後の生活にも大きく関わってくる。もし彼らが名誉を手にしていれば、その後の人生は大きく変わっていたかもしれない。※週刊ポスト2020年12月25日号
2020.12.20 16:00
週刊ポスト

トピックス

安倍政権の年金改悪路線を引き継いでいる岸田文雄・首相(時事通信フォト)
岸田政権 アベノミクスの見直し打ち出すも、安倍氏の「年金改悪路線」は継承
週刊ポスト
元TBSアナウンサーの林みなほ(オフィシャルサイトより)
元TBS・林みなほアナ離婚、インスタで匂わせていた「貧乳源一郎」との別れ
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン
「タレントパワーランキング」で公表された「F1層(20~34歳女性)に人気のタレントランキング」(2021年11月調査)で堂々の1位を獲得
戸田恵梨香、ファン歓喜の「仕事復帰」 夜の路上で輝いたクールビューティー
NEWSポストセブン
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
元TBSの林みなほアナ(写真/時事通信フォト)
元TBS林みなほアナが離婚 TBSラジオ名物プロデューサーとの結婚生活は5年あまりでピリオド
NEWSポストセブン
小泉孝太郎 炎上必至の「古風な結婚感」明かすもバッシングされなかった理由
小泉孝太郎 炎上必至の「古風な結婚感」明かすもバッシングされなかった理由
NEWSポストセブン
米ロサンゼルスで警察官となった日本人女性YURI氏
LAポリス・YURIが7年ぶりに見た日本の姿「防犯意識の低さに驚きました」【前編】
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん
小室圭さん妻・眞子さんがNYで行きつけのスーパーから見えてきた“妻の気遣い”「日本でいえば『成城石井』」 
NEWSポストセブン
さとう珠緒が「枕営業」などについて語った(写真は2009年)
さとう珠緒が暴露した枕営業の実態「権力のない人のほうが迫ってくる」
NEWSポストセブン
ご体調への不安が募る(写真/JMPA)
雅子さまと愛子さま、“ポツンと一軒家”の孤独感 閉ざされた御所での巣ごもり生活
女性セブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン