談話自体の継承が明言されているのに、なぜそこまで強硬な態度を取るのか。予算委員会で石原氏の証言を引き出した質問者である山田宏・衆院議員(日本維新の会)が解説する。
「韓国側は世界各地で『日本は20万人の女性を性奴隷にした』というプロパガンダをバラ撒いています。その有力な根拠が、河野談話です。旧日本軍が慰安婦を強制連行したことについて『日本も認めて謝っている』という論法です。
ところが、多くの歴史学者が明らかにしている通り、旧日本軍による強制連行を裏付ける史料は一つも見つかっていません。そこからも、当時の日本政府は韓国側に配慮して証拠に基づかない談話を出したのではないかと指摘されてきた。
作成過程での日韓のすり合わせが明らかになれば、談話のいかがわしさがいっそう浮かび上がり、韓国側は大きな打撃を受けます。これまで韓国が日本に政治的譲歩を迫り、日本を国際的に孤立させる最大の武器が河野談話だったわけですから。きちんと検証されれば武器として使えなくなるばかりか、自らの国際的な信用を失ってしまいます」
つまり、証拠のない「強制連行」を主張する根拠として、「日本が自らの調査と判断によって出した河野談話」は非常に使い勝手がよかった。だからこそいくら「談話を継承する」と日本側がいっても、「実は韓国政府が『日本の謝罪』の文言を考えていました」ということが明らかになってしまっては都合が悪い──そう考えて必死に抗議しているのだ。
※週刊ポスト2014年7月4日号